二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【3z】 刹那恋鎖。 ( No.26 )
日時: 2010/05/09 18:19
名前: 牙暁 ◆NIJKkC7BnA (ID: 3r6DhwLS)

 【恋色book】(前編)

人の数も疎らになった放課後の教室。

「宿題終わりやしたかィ?」

何時の間に私の隣にいたのか。
急に耳元で聞こえた声にドキッとしつつも答える。

「うん。今日は見たいテレビあるし、さっきの自習時間でもう終わらせたよ」

にっこりと笑い、相手にそう答える。
目の前にいるのは赤い瞳をした、栗毛色の髪の美しい少年。

そして、私の好きな人。

中々自分から話かける事が出来ない為、こうして話しかけて貰えるのがとても嬉しい。

総悟は皆からはドSだの言われているが、本当は凄く優しいって事、私は知ってる。
そんな彼と毎日接する内に、気付いたら凄く好きに為っていた。

「…じゃあ、ノ—ト借りていいですかィ?
土方コノヤローのは、借りたくないんでさァ」

話す内に相手の事はよくわかってくるものである。
だから私も少しは総悟の事判ってたつもりであった。
でも今の様に総悟が意外と宿題やっていたりと、日々驚かされる事は多々あり、やはり総悟の事全然判ってないんだ、と落胆する。

大好きな貴方の事、もっと知りたい…。
私の心の中は、総悟と話す度に何かと塵が積もっていく。

「あ、うん。良いよ—。でもちょっと待って」

承諾の返事をし、私はノ—トをパラパラとめくって、今日の宿題のペ—ジの最後の処に一行書き足す。

そして総悟にノ—トを手渡した。

「ありがとうございやす。明日返しますねィ」

そう言うと総悟はノ—トを鞄に仕舞い、バイバイと手を振りながら帰っていった。
其れを私も笑顔で振り返す。
こんな風に手を振れるのは、今日が最後かもしれない。

総悟が去った後自然に、はぁっと溜め息が出た。
でも……。
其れでも、私の気持ち知って貰いたかったから。


如 何 し よ う も な く 、 総 悟 の 事 が 好 き な ん だ


此の関係が壊れる事になっても……


きっと後悔しないだろう。


    next....