二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【3z】 刹那恋鎖。 ( No.47 )
- 日時: 2010/05/15 10:03
- 名前: 牙暁 ◆NIJKkC7BnA (ID: 3r6DhwLS)
【約束】
今日も何時もと同じ
平凡な一日が続いている。
「あーぁ……」
(なんて、つまらない)
屋上でボーッと青空を眺める牡丹。
季節は夏だ、真夏の太陽がジリジリと肌を刺激し、只其処に居るだけで汗が流れる。
「何してんでさァ、牡丹?」
ふと、自分以外誰も居ない筈の屋上から声がする。
声のする方向に視線を移せば、クラスメートの沖田総悟が、扉を開けて入って来ていた。
「空、眺めてただけだよ」
「授業サボって空眺めるたァ、お前も暇だねィ」
「総悟もサボりじゃん」
牡丹が座っている場所の隣に、総悟も腰を下ろす。
二人供特に会話をせず、ボーッと空を眺めていた。
「——で、お前何でそんな泣きそうな顔してんの?」
「……え?」
総悟に尋ねられ、首を傾げる。
特に悲しい事も不安な事も何も無いのだ。
其れなのに何故、自分は悲しい顔をしていると言うのだろうか?
其れとも総悟がからかっているのだろうか。
と言う考えが浮かんだが、何時もより真剣そうな表情を見れば、からかいでは無いと言う事に辿り着く。
「別に…悲しく無いよ?」
「…お前は無意識に悲しい顔なんかしねェよ。心の奥底に、不安があるんだろィ」
(——何で判るかな、彼は)
大きな不安がある訳では無いが、確かに悩みはあった。
——卒業、其れが今の牡丹の悩みである。
もう3年の夏だ、卒業まで半年近くあるが、長いようで短い半年。
もう卒業は目の前と言っても過言では無い。
「当たり前なんだけどさ…卒業が近付いて来たから、不安なんだ。
先生がいて、雅焔に神楽に妙ちゃん、土方に沖田、近藤に山崎にヅラに高杉、ルイに杏奈——…。
皆と居るのも、後少しだなあっ、て」
何一つ変わらぬ青空、何一つ変わらぬ季節。
其れでも時間の巡りは止まる事をしらない。
来年はそれぞれ別の道を歩んでいるのだ。
其れがとても悲しいのに、涙を流してしまいたくない。
——こんなに、晴れているのだから。
「変わらねェよ。……例え居場所が変わっても、俺らがいたって事実は残るんでィ。
お前も俺も、皆…何一つ変わらねェよ」
一緒にいた時間を、消さない為に。
今此処に存在している事実を、残す為に。
タイムリミットは、後僅かだから。
「じゃ、此れは約束だ。
もしルイを泣かしたりでもしたら、そん時は許さない」
「判ってまさぁ」
想い出が消えない為の、約束を交わした。
end...