二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: あまつき【天竜桜*〜ココロノ君へ〜*】 ( No.2 )
日時: 2010/05/14 20:16
名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 3c0JYUg8)
参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)

「——嫌っ…!」
バッと悪い夢から覚めるように彼女は闇の中で起きた。
彼女は荒い息をして周りを見て、右目にしている眼帯をさすった。
「…嫌いな夢がまた、か」
彼女の名は園国菖蒲。
元々、人間であり白紙の者として選ばれた彼女だったが天が定めた罪を犯した為普通の人間ではなくなってしまった。
夢の中で思いっきり走る今の自分よりも良かった姿を思い出してしまった。
あれから三年が経つが、彼女の記憶はいつまでも消えなかった。
彼女の友達や仲間、江戸の優しい人達の顔が昨日のように浮かぶ。
だが彼女自身は辛かった。
今の彼女には…天が定めた呪いが——蝕んでいた。
「朝…かな?」
闇の中を不自由なく歩いて、光の差す方へと歩く。
「ん…」
闇ばかりいたせいか、彼女は手を挙げて眩しい光を断った。
段々慣れ、彼女は森の奥に進む。
彼女は何も迷いなく。
広い広場のような所に辿り着き、彼女は言った。
「——梵天…おはよう」
「——早い目覚めだね、菖蒲」
そう言うと何処からか一人の男が舞い降りてきた。
彼の名は梵天。
彼は四天王の一人で、菖蒲の事を知っている唯一の人物だった。
彼、梵天は彼女に向かって言った。
「菖蒲、君はまた…——白緑が見た天網を見るのかい?」
白緑……———。
その名は、梵天の名付け親でありこの森の天座…普通の妖怪よりも強い妖怪の名だった。
その白緑は三年前、菖蒲が「半妖半人」でこの地を彷徨っていたのを拾い菖蒲を育ててくれた優しい妖怪だった。
だが、その三ヶ月後には…——彼はこの世から消えてしまった。
菖蒲は少し俯いた後、梵天の眼差しを見るように頷いて言う。
「…それしか、未来は導き出せないから」
自分の経験を思い出して菖蒲は、右目の眼帯をはずす。
そこには………——竜の目の金色が光っていた。

       第1話 〜竜の目〜