二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: あまつき【天竜桜*〜ココロノ君へ〜*】 ( No.3 )
- 日時: 2010/05/14 20:17
- 名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 3c0JYUg8)
- 参照: http://名前変えたよ★(元はトコ)
パキパキッと竜の鱗が呻るが三年前よりは随分痛くなかった。
これは白緑の力のおかげだろう。
たった三ヶ月の間の仲だったが、白緑は優しく接してくれた親のような存在だった。
彼女は睨むように空を見る。
フワッと微量な感じの糸……——天網が見えた。
天網とは、帝天と言う神が描いた物語を糸にしたような物。
それぞれ四天王はそれを見て行動するようされていた。
例え先の未来が壊れたとしても、帝天は修復するのだ。
彼女もその天網を見る。
彼女は、唯一帝天に認められ帝天を裏切る者を裁いたり天網を元に戻す…。
それは心が痛く、本来は憎むような役職だった。
そんな彼女の今の心は気にしていない。
心が痛いとは何なのかすら感覚にない。
多分これは、呪いが彼女の体に慣れてきたせいだろう。
「…やっぱり、一部壊れている」
森の奥に近い所を見てそう呟いた。
「帝天の糸を結ぶのかい?」
梵天は森の奥の方を見ている菖蒲に言った。
菖蒲は頷くだけ。
梵天は少し悲しい瞳をして言う。
「菖蒲、一つ言っとくよ…」
「…何、梵天?」
「——白紙の者が現れたよ」
「——ッ!」
苦痛な顔をして梵天を見た。
菖蒲は少し荒く言う。
「どう言う事ですかっ!少し経たないと現れないと書かされていた筈ですっ!」
梵天は少しため息を交えた声で菖蒲に言った。
「僕がやったわけじゃない。やったのは……——夜行なんだろうね」
「まさかっ…ありえない…帝天を裏切る気なのか!」
夜行……それは実像がない者であり、帝天が認める四天王の一人で通称は「告天」と呼ばれている。
「いや、多分…——白紙の者だと分かって行動したと思うよ」
梵天は荒い声を出した菖蒲をなだめた。
そして、どこかに行くように後ろを向く。
菖蒲は少し荒い息を呑んで梵天に囁くように言う。
「梵天…貴方は白紙の者に会うのですか?」
「——!…敵わない位鋭いね、菖蒲。そう、僕は会いに行くよ」
梵天は少し苦笑して菖蒲を見た。
菖蒲は少し俯いて言う。
「何故…何故、貴方は帝天の天網に従わないのですか……?」
梵天はけろっとした顔で菖蒲を見ずに話を繋げるように言った。
「それはもちろん…——君みたいな誰かの指示に動くようなおもちゃじゃないからさ」
「——!」
そう言葉を残して彼は飛び去って行った。
第2話 〜おもちゃ〜