二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:  - 悪 ノ 王 国 -  ( No.2 )
日時: 2010/05/17 19:05
名前: あめ ◆GJolKKvjNA (ID: 34QCmT3k)
参照: —君を悪だというのならば、僕だって同じ、血が流れてる—


「レン————っ」
「ふぇ?リン?うわっ!!」

リン、レンの誕生から、5年。
5歳になった二人は、城の庭園で楽しそうにはしゃぎあっていた。

「リン———?これは?」
レンの頭には、シロツメクサで造られた冠が載せられていた。
「それレンにあげるよ!仲良しの印、ね!」
「リン・・・!!ありがとう!!」

嬉しそうに微笑むリンとレン。
その笑い声は、庭園一杯に響き渡り、聞く者全てを幸せにしていった。
二人の楽しそうな笑い声を聞きながら、罪悪感に襲われているのは———大臣だ。

大臣は女王に、今日中にレンに召し使いになってもらうことを伝え、リンとレンを別の荘に住まわせるようにと、伝えられていたのだ。

「本当に———いいのだろうか?」
幸せそうな2人を見ていると、
引きはがしてしまうことが辛くて、胸が痛む。
でも女王の命令だ———、

逆らったら、どうなるか分からない。
大臣は重い一歩を踏み出した。

「あら、大臣。どうしたの?」
「リン様、レン様・・・申し訳ありません」
急にレンを抱え上げる大臣に、リンが驚いて叫ぶ。

「何をしているの!?レンを離してよ!今、遊んでるんだから!」
「———これも、女王様からの命令なのです」
「バカァアアァ!お母様の言うことなんか聞かなくていいわ!レンを離して!返しなさいよおおぉぉおおぉ!!」

リンの叫びは、誰もいなくなった庭園に虚しく響くだけだった。
10m先に、レンが落としてしまったシロツメクサの冠がある。
「レンの・・・レンのっ、冠・・・なの・・にい・・・」

リンは、肩を震わせて泣きじゃくった。
幼い少女には———あまりにも、大きすぎるショックだった。