二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: - 悪 ノ 王 国 - ( No.3 )
- 日時: 2010/05/17 19:34
- 名前: あめ ◆GJolKKvjNA (ID: 34QCmT3k)
- 参照: —君を悪だというのならば、僕だって同じ、血が流れてる—
「いらないっ!!」
リンは、お茶会用の部屋で不機嫌そうな声を出していた。
リンの目の前には、美味しそうなケーキ。
トランプ型の可愛らしい時計の針は、午後3時を指している。ちょうどおやつの時間だ。
「リン様、せっかく美味しいおやつを用意したんですよ?食べてください」
「———やだっ!!」
誰が言っても聞かない強情な態度に、メイドも思わず溜息を漏らす。
「・・・レンとじゃないと、楽しくないもん」
「リン様—————」
リンの寂しそうな呟きに、周りに居る者は皆、悲しさに胸を締め付けられた。
やはり、女王の決断は間違っていたのではないだろうか?
大臣を始め、この城のほとんどの者がそう思っていた。
レンを召し使いでなく王子にして、リンと共に政治を動かさせたらいいのではないだろうか?
そうすれば、リンは一人でいなくて済む。
———そう思ってはいるのだが、誰も口に出さない。
女王の命令は、絶対なのだ。
女王に逆らえば、城を追放される。
下手をすれば、処刑までされかねない。
そんな女王に、リンもいずれなってしまうのではないだろうか。
幼いリンに、女王の残酷な表情が重なる。
リンとレンが別々にさせられてから、早くも5年近く経とうとしている。
リンは、今でもレンと逢いたがっているし、
特製のケーキさえも食べてくれない。
口を開けば、
「レンに逢わせなさいよ!」や、
「私は王女になんてならない!」と言うばかりだ。
———果たしてこの状況を、どうしたらいいものか。
大臣の頭痛の種でもあった。
その時、お茶会室に近づいてくる、
一つの足音があった。
———ガチャ!
「誰———えっ?レ、レン?レンなの!?」
リンが、嬉しそうに顔を輝かせる。
フードを被ったその顔は、確かに幼い頃生き別れした、レンだった。
「はい———
お久しぶりです、リン様」
5年の歳月を経て、
既に〝召使いのレン〟になってしまった。
幼い頃、
シロツメクサを被せてあげた、あの優しい顔のレンはそこにはいない。
「レ、レン・・・や、やめて・・・」
「リン様。今日から私が、貴方の召使いです。」