二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】 黒猫闇幻想。 01up ( No.6 )
- 日時: 2010/06/13 17:04
- 名前: 煌謎 ◆vBOFA0jTOg (ID: eHFPH3xo)
- 参照: 彼等を見た時、僕は何かを感じた
▼story02 「Encounter」
僕は泥の中から掬い上げられる様に目覚めた。
夢さえ見ない深い眠りだったにも関わらず、何故か寝覚めが良い。
其の侭暫く、天井を眺めていたが、不意に其れが見覚えのない天井だと気づき、勢い良く起き上がった。
「———っ!!」
急な行動に、身体中が悲鳴を上げる。
身体の節々も固まってしまっているのか、ギリギリと痛む。
「動かない方が良い」
聞き覚えのある人物に声を掛けられ、僕は咄嗟に振り返る。
「横腹を酷く蹴られたからな、安静にしとけ」
僕は辺りを見渡したが、湟謎の姿は見当たらない。
空耳ではない。確かに湟謎が僕に向けて言葉を発した。
しかし、何故彼は姿を見せない。
何時まで経っても彼の存在に気付かない僕に痺れを切らしたのか、湟謎は僕に向かって罵声を飛ばした。
「下だ、下! 下を見ろ馬鹿!」
「──下?」
言われた通り下を向くと、其処には可愛らしい黒猫が僕を見上げていた。
黄金の瞳は、正に湟謎其の物。
「お、湟謎?」
「そうだ。気付いたらこんな処に居るわ、猫に為ってるわ。意味が判らん」
彼の口調からして、相当苛立ってる事が判る。
何故彼は猫に為ってしまったのだろう。
そもそも、此処は何処なのだろう。
再度僕は辺りを見渡したが、今居る部屋に見覚えは無い。
何時の間に、宿舎に来ていたのだろう。
僕が彼是思案していると、部屋の襖が静かに開いた。
「気がついたか」
部屋に入って来た男二人は、琥珀色と黒色の髪。
瞳孔がとても開いた彼に視線を向けられると、自然に背筋が伸びる。
「俺は土方。と、こっちは沖田だ」
切れ長な目が印象的な土方さん。
短くカットされた髪は綺麗に整えられていて、男らしい。
何とも言えない色香を醸し出す彼を、世の女性達は放ってはおかないだろう。
「宜しくお願いしまさァ」
そう気怠そうに言ったのは、沖田さん。
女性の様な愛らしい顔つき。こんな顔で微笑まれた日には、卒倒しない女性は居ない。
土方さんとは真逆のタイプだが、此方も死ぬまで女性には困らないだろう。
もっとも、僕には興味の無い事だけど。
「アンタ、名前は?」
「あっ。嘉神 雅焔です。此の子は……湟謎っていいます」
考え事をしていて宙を彷徨っていた意識を引き戻し、慌てて返事を返した。
「そうか。雅焔。聞くが、アンタあんな処で何をしてたんだ?」
あんな処とは、どんな処だろう。
僕は、彼等に会う前に何処に居たのか。
記憶を思い出そうとすれば思い出そうとする程、霞の様に指の間をすり抜けていってしまう。
時計塔で兵士と戦って、湟謎を庇って、闇に堕ちた。
其処までは覚えている。では、其の後如何したのだろう。
何故、僕等は此処に居るのだろう。
先程から一番気になっていた事を口にする。
「……此処って何処なんですか?」
「江戸だが」
「……え」
トンデモナイ事にナッテシマッタ。
今迄、資料デシカ訊イタ事ノナイ、『江戸』
僕等ハ異世界ヘト迷イ込コンデシマッタノダッタ。
此レカラ僕等ハ如何ナルノダロウ_