二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】 黒猫闇幻想。 03up ( No.7 )
日時: 2010/06/13 17:45
名前: 煌謎 ◆vBOFA0jTOg (ID: eHFPH3xo)
参照: 僕等の居場所は、此処にもあった

▼story03 「Gentleness」

「其れじゃあアンタは、別次元の世界からやって来たと」

「はい。恐らく」

「ちょっと信じられませんねェ」

二人がうーんと唸る。
其れはそうだ。いきなり目の前の人間に異世界から来たと言われたら、信じる方がどうかしている。
何よりも僕自身が信じられないのだから。

「此処で待っとけ。近藤さん呼んで来るから」

そう言い残し出ていった土方さんと沖田さん。
部屋に取り残された僕等は、改めて座りなおす。

「僕等如何なるだろうね」

「さぁな。俺はお前以外の奴の前では猫のフリをするから、後は任せたぞ」

「あ、逃げたな湟謎」

彼は既に僕の言葉は耳に入っていないようで、僕の膝の上で寝息を立て始めた。
そんな彼を見ながら、僕は思う。

近藤さんって、誰なんだろうか。
其れ以前に、此処は本当に過去なのか。
僕等は、如何なるのだろう?

次々に沸き上がる疑問をぐっと飲み下し、じっと待つ。
程無くして、土方さんと沖田さんが新たな三人目を連れて帰って来た。

「やぁ、待たせちまって済まないね! 俺は近藤、此処の局長だ。宜しくね」

局長と言う事は、此処のトップだろうか。
差し出された手を緊張しながら握り返す。
皮が厚くて骨ばった、男らしい無骨な手だった。

「嘉神 雅焔です。宜しくお願いします」

「うん、雅焔ちゃん。トシから事情は聞いてるよ。取り敢えず楽にして。少し話をしようか」

僕と湟謎の前に、三人は腰を下ろす。
其れから近藤さんは、より詳しい説明をしてくれた。

先ず、此の世界の成り立ちから始まり、真選組とはどういう処か。
そして三人はどういった役職か。
所々に冗談を混じえつつ、僕にも解りやすく優しく説明してくれた。

—─優しい人達だった。


「当面の問題は、雅焔の処遇だな」

一通り話が終わった後、土方さんが茶を啜りながら切り出した。

「そうだな。食い手が無いんじゃ、死んじまうし。かと言って、職を紹介する事も出来んし」

僕等には住む家も身寄りも無い。
其れ以上に此の世界の常識すらも無い。

「どうしたもんか。ねェ、土方さん」

「俺に振るな」

ニヤニヤと笑う沖田さん。
其れを見て土方さんがガシガシと頭を掻く。

暫しの沈黙の後、近藤さんが僕を見詰て言った。

「雅焔ちゃん。此処は見ての通り男所帯のムサイ処だ。女の子には少しばかりキツイかもしれない」

「はい」

「どうだ。此処で君を預かろう」

「えぇ!?」

驚いて腰を上げた。
こんな僕を置いてくれると言うのか。

「勿論無理にとは言わない。只此処は真選組だから、自然と事件が色々舞い込んで来るんだ」

君の世界に帰る方法も、見つかるかもしれない。
そう優しく諭してくれる近藤さん。

住む所を提供してくれて、更には帰る方法も模索できる。
こんな良い話は他に無いだろう。

少し迷った僕は、チラリと湟謎を見る。
彼は「彼等に甘えろ」という様な目で此方を見ていた。

「僕なんかが、お邪魔して良いんですか?」
「なぁに! こんな所で良ければ俺達は大歓迎さ! なぁ!」

近藤さんに答える様に頷く土方さんと沖田さん。


僕等ナンカニ、何デコンナニモ優シクシテクレルンダロウ。
 緊張ノ糸ガ切レテ思ワズ目頭ガ熱クナル_

  神様ハ

  _僕等ニ何ヲ求メテイルノダロウ_