二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】 黒猫闇幻想。 05up ( No.29 )
日時: 2010/06/13 17:13
名前: 煌謎 ◆vBOFA0jTOg (ID: eHFPH3xo)
参照: そう人は真実には届きにくい

▼story05 「Present」

僕は眩しいのを堪えて空を仰いだ。

空を仰いで先ず気付いたのが、青空を遮って通る空飛ぶ船。
次に気になったのが建物。
常に所々に明りの付いていた、ビル等を見る影もない。
其れ等の代わりに高層化しつつも瓦屋根だけは譲らない和風の建物が立ち並んでいた。

此処と元居た世界は、何処か同じで同じじゃない。
似ているようで、似ていない。


「最初は何処行きたいんでィ」

近藤さんの要望で、共に江戸を観光をしていた沖田さんの声に我に返った。

「うーん。特に無いですね」

僕等は先程行った駄菓子屋で買ったお菓子をもさもさと食べながら、のんびりと町を歩いていた。
今は行く宛も無く、取り敢えずぶらぶらしている。

「じゃあ此処行きやしょう」

「良いですけど、此処、呉服屋?」

沖田さんが餡ドーナツを口に入れながら入ろうと行ったのは、小さいが色々な着物が揃った呉服屋だった。其の意図は判らないが服を見るのは元々好きなので、彼に続いて店に入った。


「うわぁ、綺麗なのばっかだ」

「どれか気に入ったのありやしたかィ?」

「んー? 全部綺麗ですから、特に此れってのは無いです」

沖田さんの質問にそう答えると、彼は辺りを見回した後、一枚の着物を手に取った。

「なら此れはどうですかィ?」

「わぁ! カッコいいです!」

其れは漆黒の生地に無数の蝶が刺繍してある着物だった。
帯も深紅で、全体的にクール系な着物である。

「へぇー、沖田さんってセンス良いんですね」

「当たり前でさァ。気に入りましたかィ?」

「はい! 凄く綺麗!」

「じゃあ此れ貰いやす」

「えっ?」

僕が頷くと沖田さんは其の着物をお店の人に渡していた。

「え!? 良いです、沖田さん!」

「俺が雅焔にやりたいんでさァ。受け取ってくだせェ」

沖田さんはそう言いながら包んでもらった着物を渡して来た。
申し訳ない気持ちはあったが、沖田さんが折角買ってくれたものなので有り難く受けとる事にした。

お礼を言った時の沖田さんの笑顔に見惚れたのは秘密。