二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】 黒猫闇幻想。 15up ( No.134 )
- 日時: 2010/06/13 17:41
- 名前: 煌謎 ◆vBOFA0jTOg (ID: eHFPH3xo)
- 参照: 特別な思いを、報いを、求めてる訳じゃない
▼story15 「Human」
「何? 雅焔まだ起きねーのか?」
雅焔が風邪で寝込んでから数日。
未だ熱も下がらず、目も覚まさない雅焔の傍に座る者達の表情は、何時もとは正反対に暗かった。
中でも近藤さんは特に雅焔の事を心配している。
責任を感じているらしく、最近は落ち込み過ぎてストーカーすら行っていないという。
「……ハァ……ッ……」
雅焔が又、しんどそうな声を上げる。
試しに触った額が熱かった。
「……ったく、しょうがねェ」
俺は溜め息を吐きながら、新しく濡らしたタオルを雅焔の額に乗せた。
雅焔の辛そうな表情を見ながら。
─────→
自分の額に冷たい感触がきた時、目をゆっくりと開けた。
すると其処にはぼやけて見える茶色の天井が見えた。
「雅焔ちゃん!! 良かった……! 目が覚めたかい?」
そう声が聞こえた方向を見ると近藤さんが涙ぐみながら此方に近付いてきた。
そして暫く自分の顔を覗きこんでくる近藤さんの顔をぼんやりと眺め、起き上がろうと身体を動かす。
「まだ熱はあるでィ。休んどきな」
「でも、此れ以上休むと、皆さんに迷惑が……」
「餓鬼がそんな事心配してんじゃねェよ。休んどけ」
「あ、はい。すみません」
沖田さんと土方さんに止められて、僕は仕方無く布団に戻る。
其の時、僕は近藤さんに声を掛けられた。
「雅焔ちゃん、すまないんだが良いかい?」
「はい……何でしょ?」
「此方の彼を知ってるかい? 何時の間にか屯所に入っててね。名前を訊いても答えてくれなくて……」
近藤さんの手の先に目をやると、漆黒の黒髪で黄金の瞳の美形の青年が居た。
彼は此の世界では珍しい、馬服のような漆黒のタキシードを着ており、彼を見た瞬間身体に何らかの衝撃がきた。
「……湟謎……!」
僕は目の前にいる彼の名前を叫んでいた。
そして、重い身体を無理矢理動かし、久しぶりに彼の胸に飛び込んだ。
久しぶりの彼の胸に。
「お、湟謎って、あの黒猫の名前じゃねェか!!」
「如何ゆう事でィ」
驚きを隠せない土方さんと沖田さんには悪いが、今は何も話したくなくて、何も言わなかった。
只僕は、湟謎の胸の中で、湟謎の温もりを久しぶりに感じていた。
何故、湟謎が猫から人間姿に戻っているのかは判らない。
只其れは、僕等のカウントダウンに過ぎなかった。