二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】太陽と、 16up ( No.166 )
- 日時: 2010/06/27 19:47
- 名前: 煌謎 ◆vBOFA0jTOg (ID: AX8T4D8e)
- 参照: 過去より、此の先の事を想う方がまし
▼story17 「Call me」
『蝶の羽音が聴こえる』
───色褪せた世界
───注がれたワインの色も
───香り咲く薔薇も
───生まれてからの記憶も
僕にはモノクロに過ぎない。
只血だけが鮮やかに紅く、モノクロの僕を紅く塗り潰した。
「──つまんないの」
血の降る音を聴きながら、僕はそっと呟く。
自分の髪を靡かせ、次々と敵を屠っていく。
身の周りの人間が全て血の海に沈むまで、僕は黒鎌を振るい続けた。
僕等は所詮、「生贄」
其の時地球は、全国の孤児が男女、年齢関係なく、戦に駆り出されていた。
戦に勝つ為の、「生贄」そして、「物」として。
勿論、僕も其の一人。
「お前は、見境なく人を殺し過ぎだ」
「……其れが本能ですから」
闇を纏う男。
全ての色を呑み込む程に、只黒く───
「だが、お前は俺を殺さないな。其れもお前の本能なのか?」
彼の首に刻まれた「揚羽蝶」が、僕には何時も死神に見えた。
彼が喉で嘲えば、蝶も僕を嘲う。
「彼」は僕の主の、真っ黒な神様だった。
「彼」が僕の存在理由だった。
─────→
「朝には戻る。餓鬼は寝とけ」
彼は僕に名前を呼ばせなかった。
彼は僕の名前を呼ぼうとはしなかった。
いや、僕自身も自分の名前がよく判らなかった。
しかし、戦争孤児で感情を何処かで無くしてしまっていた僕を拾ってくれた彼に、
きっと僕は何も欲してはいけないと思っていた。
其れを彼が望まないだろうから。
彼の傍にいる為に、僕は何だって出来た。
けど、もう限界だ。
其の日、僕は気付いた。
彼は僕を利用している、と。
僕が人を殺す度に、僕は紅く染まった。
僕が人を殺す度に、彼は沢山の金を獲ていた。
僕は彼にとって金を獲る為だけの「道具」に過ぎなかったんだ。
そう思った途端、急に怒りが沸いてきて。
僕は沢山の金を、燃やしていた。
燃やして、燃やして、其の灰をゴミ箱に捨てた。
其 の 先 の 事 は あ ま り よ く 憶 え て い な い