二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ひぐらしのなく頃に —愛— ( No.2 )
日時: 2010/05/19 18:13
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: RcHXW11o)
参照: ただ貴方を守りたかった。そんな願いすら叶わなかった。

羽入×麻由(以下、羽麻)
百合(GL)、多少グロ表現注意!


幾度の哀を、未来の夢を

—羽入side—
ようやく、ようやく運命を覆せると思ったのに。
ようやく貴方に想いを伝えられると思ったのに。

どうして袋小路の壁は、いつまでもそれを拒むのだろう。




パン——!

また一つ、呆気ない銃声が聞こえた。
しかし、仲間達はその音に反応することなく、地面に倒れたまま、微塵も動かなかった。

その中で、小さな呻き声を上げ、身じろぐ人影。

そう、麻由ただ1人は。


麻由は地面に這い蹲り、激痛に顔を歪める。
せり上がってくるきな臭さが、僕の絶望を満たしていた。


「がはッ……!」
麻由の喉元から沸き上がる血が、咳き込みと共に、血飛沫が舞う。

僕は何とか血の流れを防ごうと傷口の箇所に手を当てるが、何度も身体を透けてしまう。
気休めにさえならなくて、僕は悔しさのあまり涙を零す。
触れることさえ出来ないこの身体を、恨めしげに睨み付けた。


「くすくす……。ようやく捕まったわ…」
鷹野の獰猛な瞳が麻由を映し、僕の目の前で悪戯のように弧を描く。
その気味悪い笑い声が、心底憎らしく感じた。
麻由は悶える苦しんだ表情で、尚も鋭く鷹野を睨み付ける。

その鷹野の右手には……硝煙が上がった拳銃。
それが、現状に至るまでの経緯を、すべて物語っていた。


「どうして!どうして…!」
そう嘆かずにはいられなかった。
でも、それは空ろな宙に舞い、それは最早、虚しい響きでしかない。


瞬間、そっと僕の頭に手が置かれる。
温かくて、優しい、麻由の手が、僕の頭をゆっくりと撫でる。
触れないのに、触れないはずなのに、今だけは、触れられる。撫でてくれる。

笑って、そっと頷く。
麻由は、大丈夫と言っているのだ。僕の為に。


「麻由……!!」
徐々に、麻由の口から出る血の泡と共に、麻由の瞼が上下に震えだす。
瞼が閉じようとするのを、必死に拒絶しているのだ。

麻由の瞳は微かに細くなり、激痛に悶えているのか、口元と眉間が僅かに歪む。


「僕は……!」
待って、まだ瞼を閉じないで。僕はまだ、言いたいことを言っていない。

「麻由の事が…」
これだけは伝えさせてほしい、次の世界でも伝わるように。



「好き——」
最後の言葉を振り絞った突如、麻由の手が力なく地面へ崩れる。
口元の血は相変わらず地面へと零れるが、喉から血が這い上がってくることは二度となかった。


「…麻由ッ……!」
麻由の名前を呼ぶが、返ってくるのは静寂のただ一つ。
麻由の瞳には、光さえ灯っていない。黄土色のような、色を失い闇に染められた、死者の瞳……。


「…………っ!」
言葉が喉につっかえて、悲しみで引き攣った叫びしか出なくて、それ以上の言葉が伝わらない。
伝わりきれないこの想いは、一体どうすればいいのだろう。
声にならない叫びを、僕は無情な空に向かって叫び続けた。


僕の身体は透けてくる。梨花の終焉を迎え、また新しい雛見沢へ訪れる。
また、次の世界が始まる。新しい麻由との時間がやってくる。

そして身体の透ける最後の瞬間、僕は温かさの残った麻由の頬に、重ねるように唇を落とした。


次の世界、貴方は僕のことを覚えていてくれますか。
次の世界、貴方は僕の言葉を覚えていてくれますか。

貴方は僕のことを、一人の『人』として、『羽入』として見ていてくれますか?

僕は貴方が忘れているのなら、何度でも伝えますから。


だからお願いします。
どうか僕のことを、好きでいてください。

———
はい、夢小説1話目ーw

てか記念すべき初っ端から百合の死ネタって、どうよ?!
チョイスをミスったと、ようやく気付くウチがいる;

この感じだと、麻由のCPが多くなるなw
…2人共、友情出演では駄目だろうk((ry