二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: < 脱線 ! >【銀魂】6うp! ( No.41 )
- 日時: 2010/08/01 20:41
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: MDpJUEHb)
- 参照:
< 七 ! >
〝 死神 〟
〝 化物 〟
〝 妖怪 〟
〝 悪魔 〟
私の昔のあだ名である。
いたいけな少女にこうもおぞましい名前を付けるとは、全くどうかしている。
ただ私は、正義の為に戦っていただけなのだ。
皆の平和の為に、大事にならない様にと、細心の注意を払ってそうしていただけなのに。
気付けば周りは、私の事を恐ろしい何かと認識し始めていた。
怖いだとか、そういう安直な物ではない。
恐ろしい、おぞましい、何か。
それが耐えられなかった。
何故だ、という考えしか頭に浮かばなかった。
私は 正当防衛 の為だけに銃を撃ったまでなのに。
周りの傍観者共は逃げ回る。
ましてや、救ってやった女性までもが、悲鳴を上げて逃げる始末。
そしてだ。
暴力警察等という名高い真選組に逮捕された。
嗚呼、神様は私の事がどれだけ嫌いなのだろう。
もういっそ、私はこの世から居なくなればいいんだ。
そうしたら、こんな辛い思いはしなくて済むんだ。
けど、それでも生きていたい。
これから幸せになりたい、なんて思うのは、私の我儘だろうか。
< 第七訓 病院では騒いじゃダメ、絶対。 >
「あ、来た来た腐れマヨ副長。おーいこっちでさァ」
「つかなんでゴリラも居るわけ? 患者さんがビックリして病状が悪化するだろーが」
大江戸病院の入り口に立っていた沖田と銀時。
前方から不機嫌そうにやって来る土方と、ニコニコとした近藤が、2人の目に映っていた。
「ったく、仕事もしねェでサボりやがって…、市中見回りはしたのか? てかお前が居るのが一番疑問なんだよこの天然パーマメント」
土方は本日3本目の煙草を咥えて、シュボッとライターと灯した。
「勿論しましたぜィ。だからこんな面倒事に首突っ込んでるわけでさァ」
望んでもいねェのに、と沖田は肩を落とす。
「天然パーマに悪い奴は居ないんですー!! どこかのマヨまみれ無造作ヘアーと違ってー!! それに俺は何でもできるヒーローですから? いつでもどこでも参上できるんだよ」
と、銀時は土方の顔面スレスレに顔を近づけ、そう憎たらしく言った。
病院内に入り、カツカツと靴を鳴らしながら、先頭の沖田について行く3人。
エレベーターで3階に上がり、看護師や医者、病人などが右往左往する廊下を、真選組3人と万事屋が歩く光景はとてもシュールな物だった。
やがて沖田は【 桐生 燐 】と書かれた札が掛けられている病室の前に足を止めた。
「ここでさァ」
土方と近藤はその名札を不思議そうに見上げた。
「……誰だ、この桐生さんって人は」
近藤は腕を組み、そうふっと呟く。
「事情は後で説明しまさァ。とりあえず中に入ってくだせェ。俺はコイツと面識があるんでねィ」
沖田はそういうと、ガラガラと病室の引き戸を引いた。
銀時、近藤と続いて入っていく中、土方は思ったのだ。
この名前、どこかで、聞いたことがあるような————……
△
その病室は相部屋ではなく、個室であった。
大きなベッドがドン、とそこにある。
花瓶には可愛らしい花が活けられていた。
そのベッドで穏やかな寝息を立てていたのは、頭に包帯が巻かれていた少女でだった。
近藤と土方はその少女を見た途端に、大きく目を見開いた。
その少女は紛れもなく、近藤と土方がファミレスで目撃した少女だったからである。
開いた口が塞がらない状態になっていた近藤と土方を見て、沖田は
「あれ、お2人共知り合いですかィ?」
と半ばニヤけながらそう聞いた。
「知り合いも何も、俺等はこの子を探してたんだよ」
近藤はそう沖田に答える。
その表情からは、不思議さと状況の読み込めなさが感じ取れた。
「……総悟、どういう事か説明しろ」
土方がそう厳しい表情をする。
沖田はふうと一息ついてから、土方と近藤に今まで起きた事を話しだした。
「え、あれ? 俺置いてけぼり? ちょっと、俺も一緒にその場に居合わせたんですけどォォ!!」
……銀時を置き去りにしながら。
▼△▼△
沖田は、少女が暴漢に頭を勝ち割られていたところから、今現在まで、
近藤と土方は、ファミレスで少女と会った所から、今現在までを話した。
真剣な会議さながらの空気に、銀時は嫌気がさしていた。
「……という事はアレか? お前等はこのいたいけな可愛らしい嬢ちゃんにむさ苦しい男共の用心棒をさせようと? ハッ!! 笑わせんじゃねーよ」
銀時はそう言うと、買ってきたイチゴ牛乳へ手を伸ばした。
「お前等のとこは相当人手が足りねーのか? それとも何、女に飢えてんのか? どちらにせよお国の平和を守る真選組ともあろう集団がする事じゃねーぜ」
そう憎たらしく言われた土方は、額に青筋を浮かべる。
「ほう? 言うじゃねーか、殆どグータラして過ごしてるどこぞの何でも屋にしてはよ」
そう言われた銀時は、「あァ?」と怪訝そうな顔をする。
「うっせんだよこのマヨネーズ星人が! どーせテメーは江戸中全部マヨで埋め尽くそうと企んでやがるんだろ? ならまだグータラのんびりしてる方がマシだね!!」
「なっ、マヨは今関係ねーだろーが!!」
「いいや関係あるね!! お前はこの嬢ちゃんも洗脳してマヨ王国を築き上げようとしている!!」
「なんだそのSF仕立て!! 洗脳って何だよ!」
「いいや土方さんならありえますねィ、という事で醤油か山葵にまみれて死ね土方」
「どういう暴言ンン!? 醤油と山葵がどういう関係にあるんだよマヨと!!」
「知らないんですかィ? 醤油と山葵とマヨを混ぜると案外いけるって3丁目の藤木さんが言ってました」
「藤木さんって誰だよ!! つか話が大幅にそれてるゥゥゥゥ!!!」
と、最後に土方がシャウトした後。
『うっるさァァァァァァいィィ!!!』
と、ベッドの上から怒声が聞こえた。
辺りが急にしんと静まり返り、全員の目線がベッドに注がれる。
『病院だっつーのに……BPOだったかTPOだったかTKOだったか忘れたけど、そういうの守ってかなきゃ駄目でしょーが。公共の場だぞここは。アンタ等騒ぎすぎ』
ゆっくりと起き上がり、そう全員に説教をした。
頭にぐるぐると痛々しく巻かれた包帯を少女はするすると解いていく。
暴漢に確かに勝ち割られたその頭は、傷一つ無かった。
暫し沈黙が流れた。
「……お前、もう大丈夫なのかィ」
沖田が口火を切った。
『あ、うん。もう完璧に。痛くも痒くもないよ。……つーかさ、このオニーサン方誰?』
少女は人差し指で、銀時、土方、近藤を指した。
< つづく ! >