二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: <  脱線 ! >【銀魂】 ( No.5 )
日時: 2010/05/29 15:31
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:                ────もう暴れまくれ!!

<一!>


最近の江戸は物騒だ。
廃刀令のこのご時世に、腰に刀を引っ提げた阿呆共が道を闊歩する。

私は別に天人の味方をするつもりは無い。むしろ攘夷活動には好意を持っている。
さすがにもう江戸の皆も、天人の横暴にうんざりしているんじゃないだろうか。

だけど、そうもいかないのが世の中という物だ。
攘夷活動に参加すれば逮捕される事は必至だし、天人に歯向かえば世間体が危ぶまれる。

真選組など論外だ。
幕府の命に従い、聞いたところカブト虫探しやキャバクラに行く殿の警備までしたそうじゃないか。
もはや「幕府の狗」という名前がピッタリと似合うようになってきたじゃないか。
私はコイツ等の様な奴等は嫌いだ。

何なんだこの面倒臭い日常は。
嫌な奴等に頭を下げ、やりたい事はやれないのか。
牢屋に居る囚人より不自由ではないか。

まぁでも、私のような善良なる一般市民が真選組にも攘夷志士にも天人にも関わる事は無いだろうし。

今日も今このファミレスで、美味しいチョコレートパフェを堪能している訳だし。
やっぱり平和がいちば 

「おらァ!! 強盗だァ!! この袋に金をありったけ詰めろォ!!!」
「キャアァァァァア!!」 「うわァァァァァ!!!」

…そういう訳にもいかないみたいだ。



< 第一訓 面倒な奴は敵に回すな >


「トシ」
「ああ、分かってる」

土方と近藤は、顔を見合わせ、出て行く時を見計らっていた。
昼下がり、ただただ偶然ファミレスに入って、ただただ総悟が生意気だのお妙さん美しいだのうだうだ語っていた。それだけだった。
まぁ日頃の鬱憤がお互い発散できて、少しノリノリになっていた両者だったが、いきなりの強盗に一気にテンションが下りつつあった。

「こ、こちら現金です…」
会計の女性が、ガタガタと震えながら袋に詰めたありったけの現金を差し出す。
強盗は乱暴にそれを受け取ると、走ってファミレスから出ようする。

その時、近藤と土方も出るつもりだった。
が、一足先に出ていた者が居た。

『おい兄ちゃん、ちょっと待ちなよ』

強盗、その場に居た客達、店員、近藤、土方の視線が一気にその言葉の主に注がれた。
そこに居たのは華奢な体つきで黒髪の少女を居た。

「ンだテメェは!!」と、強盗は食いつく様に怒鳴る。

『あのね? 夜中のコンビニとかならまだ分かるよ、
他は銀行とかさ。もっとお金ありそうなトコたくさんあるじゃん! 何で昼間のファミレスに強盗しに来んだよ!! 馬鹿なの!?』

少女は少し小馬鹿にしたような言い方で強盗に言った。

「うるせェ!! 何が言いてェんだ早くしろ!!」
強盗は痺れを切らした様に言う。

『だーかーらー』と少女は続けた。

『この私の超ステキなチョッコレイツパフェを堪能する時間にィ、強盗なんかすんなって言ってんだよォォ!!』

その言葉と共に少女は綺麗に跳躍し、強盗の顔に美しいドロップキックを食らわした。

ガッシャアアアンン!! と強盗は厨房の奥につっこむ。
一発K.O。強盗はそのまま気絶してしまった。

辺りに暫く沈黙が流れる。

『…はい、しゅーりょー。あ、そこのお姉ちゃん、お会計お願いしまーす』

「え、あ、はい…」

少女はチョコレートパフェの代金を丁度返すと、そのまま何も言わずファミレスを出て行った。

辺りは急にワッと湧き出す。

「何あの子スゲェ!!」
「一発だったよ!? 一発でK.Oだったよ!?」
「めちゃくちゃかっこいいんですけど!! 超ヤバいんですけど!! マジヤバい!!」

などと、歓声が次々に溢れ出した。

土方と近藤も、開いた口が塞がらない状態になっていた。

「…え、何、俺達スゴいモン目撃しちゃった感じ?」
「…どうやらその様だな、俺等が出る幕も無かったし」

名前も聞かなかったその少女が、とても気になる2人だった。

果たして、あの素晴らしいキックを持つ少女は何者だったのだろうか。

< 続く ! >