二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ家の毎日【VOCALOID】 ( No.101 )
日時: 2010/05/27 17:50
名前: *yuki* (ID: yjS9W/Zh)

「え〜っと…で?
…どうしてあそこにいたの?」

ああ…どうしようどうしよう。
尋問ってこういうことをいうのかしら。
………ええい、スパッと言っちゃえ!

「ゴメン…ね!あの、楽しそう、だったから…
盗み聞きしちゃいました!!」

はあ〜っ。
顔をあげたくない…。
リンさんがどんな顔してるのか。見たくない…。

「…そっか。
まあ…ナギがそんなことするとは思わなかったから…驚いたけど。
でも、正直に言ってくれたんだから、やっぱりナギはいい人ね。」

下を向いている私に、優しい声がふりかかった。

「!…そんな…いい人なんかじゃないよ。私がやったのは、ダメなことなんだから…」

本当にゴメンね。
…なんだか急に、罪の意識がわきあがってきた。

「ううん!別に、いいよ!もう大丈夫。
幸いレンは気づいてないみたいだし、レンには言わないわ。」

明るく笑って言うリンさん。

………なんで?

「なんでそんなに…優しくしてくれるの?」

心のなかの疑問が、口からこぼれでる。

「…それは…」

ちょっと顔を赤らめるリンさん。

「私、ライバルには…優しくする性格なの。」

少し恥ずかしそうに。
でも、キッパリとした言葉。

「…えっ?…き、聞こえなかったわ…」

…ううん。聞こえたよ。ちゃんと。
でも、それは聞いてはいけない言葉じゃないかと。
不安におそわれて。
わからなかったふりをする。

なんでだろうー…

〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

「あっ…そう。
ならいい…」

一旦言葉をきり、思い詰めるような表情をしたリンさん。

そして顔をあげた。

「いや…聞こえなかったなら。
もう一回言うよ。

私、ナギのこと、ライバルだと思ってる。」

…言わなくてよかったのに。

聞きたくない言葉が、もう一度発せられてしまった。
小さくて…可愛らしい、リンさんの口から。

ライバルってなんなの?
どういう意味なの?
次々にでる疑問。
わからないよ。

…わかりたく、ないよ。

「現実逃避」。

その4文字が、頭の中をグルグルまわる。
けど……

「…ナギ。」

ふいにかかった、
いつもの声とはちがう、重い声。

「私とあなたは仲間だよ。ナギのことは大好き。
でも、私。

これだけは、負けたくないから。」

そう言うと、リンさんはゆっくりと立ち上がった。

そして、こちらを見ると、少し微笑んだ。

けど、その笑顔は、少し寂しそうな笑顔だった。