二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ家の毎日【VOCALOID】 ( No.351 )
- 日時: 2010/06/12 15:40
- 名前: *yuki* ◆R61No/hCwo (ID: yjS9W/Zh)
「あわわわわ、レン、なにすんのよ、バカバカバカ!!」
「はあ?」
どんどん顔が火照っていくのがわかる。
……アンタ達はなんにも状況がつかめないでしょうから、教えてあげるわ。
今、レンが何をしたかというと、
……てっきり薬を塗るんだと思ってたのに……
私の指!
パクッてしたのよアイツ!!
それなのに、レンはなんであんなに普通の顔してるのよ!
「バッカじゃないの!?」
「はああ?」
かえってくる返事はいずれも間の抜けたものばかり。
もう〜、
「ゆゆゆ……指なめるとか、意味わかんない!
アンタは恥ずかしくないの?!」
…………あれ?
私なんで、こんな大声出してるんだろ……。
なんで……
「え、なに、そんなこと?
いいじゃん、姉弟なんだから。
同じ血だろ?」
さらっと言うレン。
……なんだか急にテンションが落ちてきた。
そ、そうよね……姉弟だもんね。
気にすることなんて、ない、か……
「ご、ゴメ……」
大声出した自分が馬鹿みたいに思え、(違う意味で)恥ずかしくなってきた。
レンは不思議そうな顔をして、
「はい、絆創膏。自分でつけろよ。」
と、絆創膏をこっちに向かって軽く投げ、
ドアを開けて行ってしまった。
「あっ、ちょっ……」
返事はなく。
…………。
うまく膝元におちた絆創膏をじっと見てみる。
もちろん、なにも変わらないけど。
“姉弟”……。
そうね、それだけの関係ね。
当たり前ね。
なんでだろう、でてきてしまったため息が、
私の気持ちをさらに重くした。
ため息は軽いのにな……。
あーあ。
「リン!」
あれから数時間たってもでてこなかったので、
リンの部屋に行くと、
アイツはベッドに寝転がっていた。
「ほら、アップルパイできたぞ。
みんなでつくったんだ。」
主にナギ姉がだけど。
お皿を机におくと、リンはこっちをチラッと見て……
眼を見開き、飛び起きた。
「つ、つくったの?へえ……」
ゆっくりと立ち上がって、アップルパイをじろじろと眺めるリン。
「そーだよ、リンゴもったいないからな。
お前がつくらなければおい……いや、なんでもない。」
咳をして言葉の先をごまかす。
危ない危ない、蹴られるところだった。
幸い、皿の上に夢中で、聞いてなかったようだが……
「食べていい?」
キラキラと眼を輝かせて、リンがこっちを見る。
「ああ。もちろん。」
そう言うと、リンはわーいと喜んで、犬のように食べ始めた。
「おい、もうちょっと行儀よく……」
「別にそんなの関係ないもんね!
おいっしい♪」
にっと笑うリン。
超関係あることだけど。
……まあ、おいしいって言ってるし……いっか。
「んじゃ、ナギ姉にそう伝えとくよ。」
がつがつと手で食べるほど夢中になっているので、
俺の言葉は聞こえなかったっぽい。
そんなリンを見てると、
フッと笑いがもれた。
…………ま、可愛いんじゃねーの?
「今度は俺が、つくってやっよ。」
きっとリンには、聞こえていないだろう。
小声でそんなことを、呟いてみた。
End