二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ家の毎日【VOCALOID】 ( No.394 )
日時: 2010/06/13 18:12
名前: *yuki* ◆R61No/hCwo (ID: yjS9W/Zh)

旅館の外は当然緑に覆われていて。
そして、わずかに、温泉のあの独特の匂いがする。
深呼吸したくなるような空気。

道のりは大変なものだったが、来たかいがあったな……

「じゃ、どのへんいく?レン君。」

「ん〜、まあ適当に、あのへんとか……」

散歩なんだ、目的地なんてないんだしな。
適当に歩くだけで、景色が満喫できるんだ、いいじゃないか。

坂道をゆっくりと降りて行く。

鳥のさえずりが聴こえたりして、いいもんだ……

すると。

「トロンボーンショォットォォォォオ!!」

「おわっ?!」

平和だった雰囲気をぶち壊し、なにかが飛んできた。
反射神経がいい俺はよけることができたが……、
カイト兄の顔面にそれは炸裂し、カイト兄は茂みの奥に吹っ飛ばされてしまった。

炸裂って語感いいよな。
……すまん、どうでもいいな、早くカイト兄を救出しなければ。

「お〜い…………」

茂みに向かう。
危機感?プッ、ないない。

……失礼。

「あ、ゴメンなさーい。
当たっちゃた?」

「!」

後ろからの声に振り向くと、
そこには黒髪を揺らしながら笑っている、
銀色の瞳の少女がいた。







「アハハ、ゴメンね?ちょっと練習してたらさぁ」

謝ってる感じがさらさらない……
桜音ユキ、(17)。

俺達は気絶しているカイト兄をかついで旅館にむかっていた。

しかしあれは練習なのか?だとしたらなんの?

「私、恵穂旅館に住んでるのよ、
えーっと……モミっていう従業員の親戚で。」

「え、モミさんの?」

親戚なのか。

「あれ、知ってるの?
もしかしてレン君達の担当モミだった?」

「あ、はい……」

ふーん、と特に関心なさそうなユキさん。

「何人で泊まってるの?何日目?」

でもそれは気になるようだ。

「9人です、福引きであたって……
今日来たばっかですよ」

「あ〜、そういえば福引きがなんたらかんたらとか言ってたわねアイツ。
へー、今日。そっかあ。」

今度はふんふんと頷いている。
それにしてもアイツ呼ばわりって、結構ひどくね?

……そんなことを話してると、旅館に着いた。

「どこの間?後でお詫びにお菓子かっぱらっ……持っていくから」

……今のは聞き間違いだよな。
うん、そう思っておこう。

「えっと……桜の間です。」

「あ、そうなの?
あそこ気に入ってるんだ、私の名字だから」

そう言うと、ピューッとどこかに駆け抜けていってしまった。
トロンボーンを担ぎながら。

「……なんだったんだろう……」

首をひねりながら、とりあえず部屋に入った。