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　メイコが居るのは、森の目の前。
　やはり、体が引き込まれるメイコ。でも、それに抵抗しない。恐怖心も強かったが、何より好奇心が強かった。それと、カイトが居なければ叱られる。話にならない。
　森にメイコの足が入ると、木の枝が折れる音がした。更に、体が入ると、木が揺れる音がした。
　メイコは冷や汗を掻く。顔にも、体にも。涼しいはずなのに、汗を掻く。怖い、怖い。だけど。
　「やあ、君は咲音メイコさんだね？」
「……だれ、よ」
恐怖で足が震えるメイコ。顔には大量の冷や汗。
声のする方に顔を向けると、黒い物体、が飛んでいた。それは人のシルエットの様に見えるけれど、人にしてはとても小さかった。
　「夢、さ。儚くて脆くて狂った夢！　僕は大きくなるために君をアリスにさせるんだよ！」
「……アリスって、何、よ」
「そうだなあ、何、と言えば、過去と未来で変わる、世界に一つだけの人物」
メイコの質問に、夢と名乗る影は少し考えてから言った。すると、もう一回、
「どうだい？　この剣をとって森の奥に行くか、それとも、このまま戻るか」
「行く、行くわ。青い髪の子、あなた、知らない？」
「知らないねえ？　じゃ、行ってらっしゃい」
夢は不気味に、狂ったように笑って言った。
　前を見てるメイコは、それを知らない。