二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: VOCALOID! リクエスト募集中 ( No.4 )
- 日時: 2010/05/24 19:23
- 名前: 真飛 ◆v9jt8.IUtE (ID: xYJBB/ey)
あなたを殺す前に、ナゾを一つ置いていきます。
「二つ目のナゾは、彼らが海に落ちたワケ。彼らの中に本当に犯人が居ると思うかい? お嬢さん」
目の前の探偵はわざとらしく笑って私に話しかける。本当は、分かってるんでしょ? 自分が犯人じゃないことも、全て、全て。
「知らないわ。それより、一つ目の“ナゾ”の時、あなたは本当に“探偵”だったの?」
「……何を訊くと思ったら。今も昨日も僕は探偵さ。勿論、あの時も。さて、過去の話は後にしようか。それでは、彼らが海に落ちたワケ……」
じゃあ、なぜ、なぜ。あなたはそんなに焦っているの。過去の話を気にしているのは、あなたじゃないの?
彼らはひとりとふたりしか殺すことができなかった。
その彼らも死んでしまった。海に落ちた。誰の手で?
私は、左ポケットの中に左手を突っ込み、ポケットの中にあるナイフを握りしめる。
探偵は、私の左横を通り過ぎながら夢中になって話す。
“たったひとつだけ狂った計画。事件に巻き込まれたもう一人の探偵”
どっちが探偵か、どっちが犯人か。きっとどっちも——。
「“極悪な犯人はあなたではない”」
私は、あなたの耳の横で囁くと同時に、ナイフを振り上げる。
私はナイフを振り下げる——その刹那。
探偵は、ナイフを振り切った。私の持ってたナイフを、素手で振り切った。
彼の手はナイフに当たり、ルビーみたいな赤い血が流れ落ちる。
私の最後の手段。彼は事も無げに叩き落す。手は赤く染まって痛そうなのに、本人は全く痛く無さそうで。
「さあ犯人は誰かな? ほら、きみの目の前に居る、その名前をさあ言ってごらん——この、僕の名前を!」
狂うように手をあげて狂うように笑う探偵。
本当は全て嘘、あなたの嘘は脆くて悲しくて分かりやすい嘘。密かに、あなたの目から水が伝う。
探偵は、小さく呟く。誰にも、誰にも聞こえないような声で。
「本当は君に知られたくはなかった……せめてもの情けだ、逃げるなら今だ、早く……」
「いやだ、絶対に!」
気付けば口が動いていた。私は、泣いていたの。誰よりのあなたが大切だった。そう、大切だった。
部屋に落ちてるボロボロのノート。そのノートを開く、私。
答えが一つとは限らない。
それを確認する術も、もうじき消えて無くなる。
グチャグチャな字でそう書いてあるボロボロのノート。
後ろを見ると、ナイフを振り上げる探偵の姿。私の頭上近くにナイフが来た時、探偵は硬直した。
「早くしないと僕の手が君を殺めてしまうよ? 止まってる内に、逃げて……」
午後零時、私は探偵の部屋だった場所から逃げ出した。