二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: VOCALOID!  リクエスト募集中 ( No.5 )
日時: 2010/05/24 19:57
名前: 真飛 ◆v9jt8.IUtE (ID: xYJBB/ey)

 「リン、君には今、あの時のナゾが解けるかい?」
「あれね、あの時から分かってたよ」
森の奥の奥の屋敷に森に潜んで住んでいる、男性女性。いや、あの時の探偵と女性。
 「私に睡眠薬を飲ませて目隠ししたのはあなた。その時、ワイングラスは二つあったんでしょう? 目隠しを解いて、警察を呼べば私がきっと犯人。私の目の前で見えたのは夢と言う空間だけ。全く、あなたも酷いことする」
 黄色の髪の女性、リンが皮肉を込めた口調で、それでも笑いながら黄色い髪の男性、レンに言う。
「……正解だ、お見事。君も相当イカれてるよ。自分を殺そうとした人と今こうして暮らしてるのだから」
「あなたがあの事故から守ってくれたから。暮らしてるの。一つの恩よ。あなたが来ないと今頃私も海の底だもの」
レンが、リンの言った事全てが当っていることに驚いて、目を見開くと、すぐに普通に微笑んでいる表情に戻って、小さな拍手をした。その後に、レンが言った言葉にリンが言い返す。
穏やかで優しい、たった二人の会話。

 「——でも、あの時、私はあなたがピアノを弾くために腕があると知っていたら……」
「知っていても無理だと思うよ。あの時溺れて泳げなかった君は僕に助けられないと生きられないんだから」
顔を俯かせて、目を細め、悲しそうに言うリンの言葉を遮って、レンは偉そうに、だけど、「悲しんでても仕方が無い」と言いたそうに話す。

 「……そうね。あとレン、ピアノ、教えてよ」
リンはレンの言った言葉を呑み込むように、間を空けた後に言う。
 それから、ピアノを弾いていたレンに笑いながら「教えて欲しい」と一言。

 森の奥の奥で、二人は潜むように、静かに暮らしていた。まるで、真実を闇へ葬るように、ナゾをナゾのままで放置するように。

 ボロボロのノートにグチャグチャの文字で書いた。二人の未来、二人の最期までのメッセージ。

 "ようこそ、わたしたちだけの世界へ"