二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: VOCALOID!  【 うっち〜様リク終了! 】 ( No.66 )
日時: 2010/06/13 15:51
名前: 真飛 ◆v9jt8.IUtE (ID: SG7XrUxP)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_test/view.html?351687

 二番目アリスはおとなしく——。
 綺麗な歌声の持ち主、カイト。好奇心もあったけれど、おとなしく、優しい心の持ち主。
 そんな彼の歌声を聴く庭園の貴族。皆癒される、と言ったような顔でその歌を聴く。
 
 いかれた男に撃ち殺されて——。
その時点で客の貴族は、一人を残して皆狂っていた。目をつぶって楽しそうに歌うカイトは皆の表情には全く気付かなかった。
 皆に愛でられ枯れてゆく。
曲が終わり、カイトが目を開くと、客は皆泡を吹き倒れていたり、貴族の周りの執事と呼ばれる人物は、スーツのポケットから銃を取り出し銃口をカイトに向けていた。
 その光景に、驚くカイト。しかし、皆が変わっていく光景を見て、段々面白くなってきたのか、狂って笑い出す。
 そして、自分の好きな歌を歌いだす。狂った自分は止められない。狂った歌声は感染して狂う人が増える。その順序を見ていくのが楽しくて楽しくて、歌い続けるカイト。    
 だが、一人だけ変わらない笑顔でカイトの歌を聴く人物が居る。
緑の、可憐で可愛らしい少女——カイトの初恋の女性。
 「なんでっ! なんでお前は狂わないんだよォッ! 皆狂ってゆくのに、お前だけ笑顔で、笑顔で……」

 ——銃声の音が聞こえる。狂っている人達の呻き声より目立つ、銃声。銃弾は、カイトの胸元に当たる。そして倒れるカイト。尚も歌い続ける。意識が朦朧としても、目が虚ろになっても。
 カイトの小さな歌声に混ざって、小さな笑い声が入る。緑の少女の笑い声。
「お疲れ様、イカレ帽子屋?」
「普通の女王のフリをした夢さんこそ。ハートの女王っておばさんくさいと思ってたのに」
「喧嘩売ってんの?」
 ティーパックの紙が付いたボロボロの帽子を被った男性の姿。少女が帽子屋、と言う名前を呼ぶと、その男性は庭園の植物から出てくる。そして、二人は会話を交わす。まるで、友達のように、ライバルのように。
 「でも、さ、二番目が消えてよかったじゃん?」
「私には何のメリットもありませんよ悪夢さま」
 悪夢。そう、メイコを殺したのも夢。カイトを殺したのも少女の姿をした夢。少女は一体誰か、それも分からない。
 先ほど緑の少女から貰った胸元にある青の薔薇は、胸元の血が青い薔薇に染まって、赤い薔薇に変わりつつある。
 カイトの表情は安らかな笑顔だった。殺されたのにも関わらず、綺麗な笑顔で。

 「さあ、後は四番目だけだよ、帽子屋!」
「そだねー。後、三番目ってどんなって見たのさ」
「えーとねぇ————?」