二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: VOCALOID! リクエスト募集中 ( No.8 )
- 日時: 2010/05/28 19:09
- 名前: 真飛 ◆v9jt8.IUtE (ID: xYJBB/ey)
「パパ、ママ……ニーナ!」
白い熊のぬいぐるみを指差しながら大きな声で言う一歳の僕。
「よくできました」と言って笑いながら手を叩くお母さんが僕の後ろに居た。
その時に、僕はなぜかどこかに走った。
十七歳の僕は、その時の写真を見て、君に会いに走ったのを覚えている。
小さい頃によつんばいから前足……普通に言う手で歩いたのも、きっと、きっと君を抱き締めるために浮かせた。のに、なぜ。
この前足は、君を傷つけるの。殴って、殴って。傷だらけの君を見ると心が痛くて。だけど手が勝手に動いて。
何も、行動だけじゃない。口から出てくる無数の言葉。
“愛してる”でも、“好きだよ”でもない。
“死ね”“嫌い”“馬鹿”、それから色々。
まるで、切れ味のいいナイフのように。
僕が切り裂く人生。切れやすい君は、それは。
君は泣きそうになる。その前に僕も泣きそうになる。泣きそうな顔の僕を見て、君はこう微笑んで言った。
「泣かないで。あなたのその口からナイフが出るなら、アタシのこの口で塞いであげるから、泣かないで」
それから、君は唇を——。
僕は動くのやめた。いや、止まった。一つの愛情、一つの行動。泣いてる君は微笑んだ。僕はなぜか泣きっぱなしで。
言葉なんて要らない。今は。
錆付いた様に、言葉なんて出ないから。
真剣にそれを読む僕。
急に、何かの衝撃が来た。ごん、となる僕の頭。それはそれは鈍い音。
だけど、暖かい音。
「いって、何すんの、いきなり」
「ごめん、何読んでるのかなって」
頭をさする僕に、君は手を合わせて、笑いながら謝る。本当に痛いけど、それも許していいくらい可愛い笑顔で。
「……思い出」
そっけなく答える僕に、君は「へぇーっ」と感心すると、唇に衝撃。一瞬意識飛ぶ。見えないのも一つの理由。
「さっきから何すん——」
「大好き」
君は、顔を離すと真顔で、真剣に言う。その後に笑いながら「あと、二人の思い出に乾杯!」と言った。
僕は無言。何を言えばいいのか分からない。それよりも嬉しくて、嬉しくて。君が僕を愛する程、傷つけたくなる。
歪んでる、けど。君が抑えてくれるからきっと大丈夫。
“大好き”なんて言うならさ、
ボンベのように一生繋がって、一生僕の言葉を吐かずに吸って、もう息絶えていいよ。
暴走したら、本当に起こりそうな出来事。
でもその前に君がきっと止めてくれるよね。
(歪んでるよ)(それでもいいの、“大好き”だから)