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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: VOCALOID! 【 リクエスト募集中! 】 ( No.95 )
- 日時: 2010/07/09 20:43
- 名前: 真飛 ◆v9jt8.IUtE (ID: SG7XrUxP)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_test/view.html?356154
「居たよ、レン!」
リンの掛け声と共に二人はウサギを追いかける。
——そして。いつの間にかウサギの姿はなくなり、目の前には、森——緑ではない、赤の森が広がっていた。
「ここ、どこだ……?」
不審そうにレンは目を細める。
生臭いにおいがするこの森を、リンは怪訝そうな顔をして鼻を押さえている。
この時、レンの頭の中には一つの本の場面が浮かんでいた。
それは、Sacrifice Aliceの、一番目アリス。
一番目アリス——メイコは、弟のカイトを心配して森の中に行くと、夢に遭遇した。夢に惑わされた一番目アリスは狂ってしまい生物を殺してしまう。
それからもっと狂ってしまい、沢山の生物を殺してしまったことによって、死んでしまう。
そして、メイコが残した赤い血の道だけが彼女の命を知る術。
——確か、そんな話だったはず。
でも、リンとレンはリンとレンであり、一番目アリスでも、メイコでもないのだ。
レンがそう頭に浮かべ、考えているのとは裏腹に、好奇心だけで生臭いにおいのする赤い道を、鼻を押さえて走っていくリン。それを見て、頭の中を一度振り払って必死に前に居るリンを追いかけるレン。
「ん? 気のせい、かな……」
「どうしたリン、何か見たのか?」
「いや……居ない、けど視線がー……」
リンが何かに気づいたかのように後ろを振り向くと、レンもリンの方を見て、心配そうに言う。
リンには見えなかった。が、その視線の先には確かに黒い影の姿——そう、メイコ、ミク、カイトの三人を精神から傷つけた夢が居た。
「……一人で生まれてこれば行けたかもしれないのに……」
小さい声で、哀れむような声で、夢は独りで呟いた。
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