二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BLEACH 刹那の時間【葵】 コメ求む ( No.10 )
日時: 2010/10/06 19:45
名前: 風 (ID: NTBCloh9)

ねこうさぎへ
出来れば月が嬉しかったぁ(汗
いやぁ,こっち来てくれても嬉しいですよ^^



BLEACH 刹那の時間【葵】
第一章

第一節
第ニ話「榛原翔兵 Part1」

山本が杖を鳴らすと同時に山本の後の扉が開く。
瞬間,扉によって鎖されていた凄まじい霊圧の奔流が流れ込む。
副官クラス達は尻込みして後へと立ち退く。その中で草鹿や恋次・檜佐木は余り揺らいでいない。
隊長格候補の副隊長と言う位置付けの面々だ。


ザッ

         ザッ



               ザッ


                      ザッ



                            ザッ


足音が少しずつ近付いて行き王属特務の面々の全容が少しずつ見えてくる。
中央に赤髪の老獪,玄海竜十郎時貞,
そしてその左に第三席風破烈祥,独創的な髪型の無精ひげの男だ。
右側には副隊長である伊戸部慎三。
黒の長髪で赤と銀のオッドアイの鋭い瞳とノースリーブが特徴的な冷静そうな男だ。
左端に五席の虚空田白蓮。
体が名前を体現したような容姿で色白で空ろな青い瞳,透明感のある黒髪の若者だ。
そして,最後に右端に四席の篝火刹那。
今回,護廷に招来した王属特務で唯一の女性だ。長い金髪で色っぽい顔立ちのグラマラスな美女だ。
乱菊が少し対抗意識を顕にしているのはこの際無視しておこう。

「松本…変に挑発するな…」
「エェ〜!?あたしあの女に興味…」

「王属特務を敵に回す必要はねぇよ」
『ぶぅ〜…其れ位で根に持つ様な奴が王属特務にいるかっての?』

矢張り全く無視する訳には行かず日番谷が明らかに牽制する様な挑発的な霊圧を流す乱菊を窘める。
王属特務は特務機関だ。命令あらば護廷の一部隊くらい壊す事も出来る。
もし相手が感情的な策士だったらすぐさま気に喰わない所が有った壊そうとなるだろう。
確かに今までにその様な前例は無いしその様な輩が王属特務等大層な役職につける筈は無いだろうが
人は何処で足を踏み外すか分らないし瀞霊廷の過去は隠蔽と嘘で塗れていると
日番谷は草冠との戦いで知っている。無論,乱菊も清濁併せ呑んだ大人だ。了解しているだろう。
少し愚痴を言いながらも彼女は口を尖らせソッポを向き霊圧を引っ込めた。

『あの女……面白そうね』

当の霊圧を向けられた乱菊の言うとおり本人は不快感など全く持たず友達意識すら持っていたが。
そんな彼女の長である竜十郎が山本と目を合わせる。山本は竹馬の共に少し目を細める。

「久し振りじゃのう山本…」
「あぁ,彼是四百年ぶりかの…あの時は二人で三日三晩飲み明かした♪」

「えぇ〜!?僕達が隊長やってる頃に有ってたのかい山爺?」
「それがあってたんじゃよぉ京楽ぅ♪」

「僕は七百年あってないんだけど…」
「京楽……お前だけ除者か」
「えっ,浮竹は会ったのかい…」

コクリ


山本と玄海の言葉に京楽が突っ掛かってくる。四百年前といえば彼が隊長になり三百年経ったころだ。
副隊長だった時期を三百年暮らしその間に何度も彼とは友好が有り好々爺然とした優しさと
賢さ,風流を理解する心に絆されすぐさま和解し年の離れた飲み友達となった。
良く自制が効かなくなり病弱な浮竹も捲込み浮竹が血を吐き出すまで呑んだ物だ。
浮竹としては眩暈がするほど思い出したくない記憶だ。


ゴッ____

「失礼致しました…隊長が,ご無礼を働き」
「七緒」

『京楽………何時になっても副官の尻に敷かれるなお前は』

バキィ
「静粛に……上様のご膳ですよ!」
『真面目じゃのぉ』

久し振りの再開が実はもっと前に行われている筈だった事に気付き,喚く京楽。
最初はそれは仕方ないと思っていたが浮竹の介入により更に煩さを増した馬鹿を七緒は
拳と言う力で捻じ伏せる。本来なら彼は七緒の拳程度後を向いていても交わせるがかわさない。
理由は明快で彼は彼女の拳の痛みを楽しんでいる…コミュニケーションだと思っている。
その惚気具合を浮竹は勘違いし京楽よりの時貞は七緒の真面目さに少し眩暈を覚えるのだった。

「京楽隊長…」
「狛村君?」

「堅苦しい話は早々に切り上げ積もる話は後にすれば良いだろう」
「そうだね…」


スッ…


本当ならかわせる攻撃をかわしもしないと嘆息交じりの七緒だ。
その七緒を他所に七緒よりは多少なりとも柔らかい隣の隊長格狛村が正論を言う。
彼は網笠を深く被り微笑して首肯した。

そして,玄海竜十郎時貞の口から事の次第が発せられる。



                  「王よリの通達ハ虎狼衆の掃討成リ…」



それに対して王属特務とも通ずる上級隊長格京楽・浮竹・卯の花は反応する。
虎狼衆とは確か特殊な力を持った強力な死神の反抗勢力だった筈だ。
彼等は数年前に人知れず王属特務により全力の元に抹消された筈だ。

「待ってくれ」
「どうした…浮竹十四郎」

「虎狼衆は全滅した筈では………」
「あぁ,辛かった…苦渋を呑んで辛酸を流して斬って伏せた物だ。王の為にな」

叛乱分子として数百年の長きより栄えてきた彼等は危険で王は昔から葬ろうと思っていた。
其れが,遂に数年前壊滅に追い遣る明確な理由が生まれ軍事介入し苦戦の元討伐したのだ。
老若男女問わず善人悪人問わず行われた殺戮で心を鎖した隊士も居るほどだったと言う。
討伐は五ヶ月にも及び現世の日本全土を駆逐しつくした。然し,唯一人生き残りが居たのだ。

「生き残りが1人居たのよ………その彼は族長の血統書で霊圧を結界で完全に遮断され外国に居た」
「詰りは………そのたった一人の人を殺すために」

「違うんだなお嬢ちゃん…それがソイツは類希なるカリスマ性と特殊能力で戦力を整えた。」



                               ____新生虎狼衆ヲね


雛森の一人を殺すために組織全てを動かすなんて忍びないと言う声に篝火が応える。
そう,詰り時貞達は現世自体には此処最近来ていたのだ。戸魂界には顔を出していなかったが…
因みに護廷隊と提携する理由は戦力としても大きいがそれ以上に,
十二番隊隊長にして科学・物理・力学等理科的知識の第一人者マユリの追跡力を期待してだ。

「読めたヨ…詰り君達はそいつ等を見つけ包囲する為に我々を指揮すると言う訳かネ?」

「その通り♪」
「相変らず軽々しい雌だヨ」
「雌…だと」

「隊長〜,落ち着いて(汗」
「………おやおや,ジェンダーのお姉様がお怒りの様だネ。此処は引っ込むとするヨ」

マユリの言葉に突拍子もない怒りの篭った声で肯定する篝火。
周りの王属特務の面々も少し嫌気が有るのか様なリアクションを取る。
その後のマユリの言葉に月経が近付いていてイライラしている砕蜂が喰いかかる。
大前田が止めようと介入するがその前に聡明なマユリは逃げの一手を打つのだった。
それに対し後で小さくネムが親指を立てていた入りする。


「詰りは結局は人殺しって事か」
「人を助ける筈の組織なんだがな」

「悪いね…俺達の不手際で」

プライドや沽券に関わるという風情の檜佐木と日番谷に風破が謝罪の念を篭めて言う。
最もだと言う風情で……風破達も元は護廷に所属していたのだからその気持ちは分るだろう。
そもそも出来ることなら人の命は奪いたくない物だ。何よりも尊い掛け値無いだ……


その後も会話は続きどの様な連携をするかどの隊は何処を守護するカなどを討論して会議は終った。
そして,各々通常業務に戻る。京楽と浮竹は玄海の元へと行き酒でも呑もうと進める。
作戦の実行は敵を補足する時間を考慮して四日後となった。

一方,玄海は十三番隊の雨絃堂で京楽たちと晩酌を楽しんでいた。

「いやぁ,相変らず強いねぇ♪」
「主ものう」

ゴッゴッゴッ…
「ゴホゴホッ…俺はもう駄目だ」
「達者でのう」

「……死ぬわけではないです玄海殿」

「所でさぁ,お爺ちゃん。」
「なんじゃい?」

「その新生虎狼衆を立てた奴ってのは何て名前なんだい?」

適度に良いが回り浮竹がフェードアウトした最高のタイミングで京楽は問いかける。
無論,玄海が名前を知っていると踏んでの事だ。
名前も知らぬ相手を殺すのは寝覚めが悪い。

玄海は黙り込む。
知ってはいるのだがその名前が余程口にしたくないのか…

「口にしたくないなら良いんだよ?」

「いや…」

京楽が慮るが竜十郎は其れを拒否し言うと宣言する。

====================


3年前___
男は絶望の淵に居た。
自分が外国で生活している間に自らの一族は壊滅していたのだ。
見事なまでの壊滅…現世でも謎の一族集団怪死として彼の一族が死んだ後も語り継がれていた。

「何故だ」

グッと血が出るほどに男は拳を握り締める。
そして唇を噛み締め目から涙を潤ませる。深い悲しみの矛先は死神へと行った。
誰一人の魂魄とも会わない。
戸魂界に一族が所有する穿開門で調査に行っても見たが誰一人にも会わない。
地獄に送られよう物なら世界の空気の鳴動で察知できる筈だ。
本当にこの世から完全に消えたのだ。この幾重にも重なる有象無象の世界から魂が…
理由は1つ…死神は王族は自ら達の存在の危険性を危惧している。


「正義とは有無を言わさない大量虐殺を赦すのか!!?」

唯1つ遺品として残った刀。
自らの姉が持っていた斬魄刀,其れに思念を同調させ一部始終を見る。
姉恋香の斬魄刀のみが有する特殊能力「神写し」。
それは全ての一族と思念を同調させ全ての一族の最後を焼き付ける目の様なもの。
不遇の死を見る為に姉は嗚咽し悲しんでいた。
大粒の涙をポタポタ流し帰ってこないと悔やんでいた。



                   姉上モ殺されタノダ————



殺した犯人は直ぐに理解できた。
王族の直属の護衛集団,王属特務だ。
恐らくは自らの崇拝する王の悪行を気付かず見てみぬ振りをしているだろう


                        護廷十三隊___矢張り気ニ喰わない———


彼は
        絶望と      


               嫉妬と


                     憤怒と



                            喪失感とで頭ガ真っ白になっタ



そして,最後に姉の死ぬ姿を見る。


「ねぇ,もし私の剣を握っているのなら弟よ。私達の事は忘れてコッソリと普通に生きなさい。
優しい良い奥さんをもって家族を作って緩やかに老衰して幸せに逝きなさい…私の願いです」



「姉上………俺ァ,そんなに大人じゃ有りません…俺は一族を忘れる事は!」




                               ____出来ない!!!!!


男は心の中で世界に轟くほどの大絶叫をする。
この瞬間男の心の中にはどす黒い復讐の嵐が吹き荒れ男はその復讐の為に全人生を捧げた。
力を知力を権力を財力をどの様な悪意に満ちた方法も使い全てに渇望した。

カラン

「最後に復讐は魔道に落ちます…私は貴方が復讐に燃え人の姿をした怪物になることが怖い」

決意と共に手の力が緩み落ちた斬魄刀は恋香の最後の言葉を継げる。
然し,その声は男に届く事は無い。
この言葉を男に伝える事を最後の役割と設定されていたその斬魄刀は男の笑いの中に消えていった。
音も立てず緩やかに…
___________

戸魂界


雨絃堂に緩やかな静寂が降りる。
老人は小さくのろのろと口を動かし名を告げる。
京楽はそれに耳を傾ける。




            男の名は榛原翔兵ジャ————



京楽の目が瞠目する。
其れは虎狼衆最大派閥の一族の中でも一握りしか語れない特殊な名だ。
代々,虎狼衆は特殊で一族の長となる者の名を榛原翔兵と言い長の名を榛原翔英と言う。
詰りは次代の長を取り逃がしたという事になるのだった。



                                     ∞END∞


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