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Re: BLEACH 刹那の時間【葵】 久々更新! ( No.12 )
日時: 2010/10/14 10:34
名前: 風 (ID: OK7TThtZ)

BLEACH 刹那の時間【葵】
第一章

第一節
第三話「榛原翔兵 Part2」


彼が懺悔し復讐を誓ったその日から数年が過ぎた。
榛原翔兵は力と権力と戦力を常に求め徐々に暗躍しながら手に入れていった。
そんな彼は今,自家用車のベンツに乗っていた。
欲求の赴くまま何もかも試みそして,其れで居て理知的で計算高い頭脳で成功してきた。
そして,多くの自らの欲求に値する利器を手に入れてきた。

「飛ばすぜ…織姫ちゃん」
黒色のジャケットを羽織った赤味掛かった黒髪のオールバックの堀の深い美男子,
翔兵は助手席に乗る豊満な胸のあどけなさの残る顔立ちの少女に言う。

「はい♪」


織姫と呼ばれた少女は利発的な雰囲気で頷いた。
彼女は,数年前一護との接触により力を手に居れ
旅過として瀞霊廷に黒崎一護等数名と潜入しルキアを救う事に邁進した末,
騒動の本質に出会い護廷の戦力とされるが藍染にその能力の価値の高さを利用され拉致される等
と言った普通の人間とは違う経験を持った少女だ。
遠く離れた場所から彼はその様な情報も逐一探って居た。


ガチャガチャッ…

彼は忠告はしたとばかりに一気にギアを最高まで上げてアクセルペダルを前回にする。
ブオォンと言う音が夜の帳に響き渡り排気ガスが雲の様に燃え上がる。
夜の閑散とした町並みを全力で走る,彼の気晴らしの1つだ。


「もう,四年に成りますね?」
「あっ?あぁ………正確には三年と十ヶ月と十一日だ」

「凄い!其処まで覚えてるんですか!?」


「適当だよ…真に受けすぎだ」


彼女とは付き合い始めて長い。
彼自身は空座町出身と言う訳ではないが藍染騒動の一年後位に此処に来て
同じく高い霊力を誇る彼等に興味を抱き一緒に居る…と言う事に成っている表面上は。
唯一,警戒心の強い石田だけが未だに信用はして居ないが他の茶渡達は信用し
織姫と彼との関係を芳しく思っている。
そんな情事に耽りながら今迄の記憶を辿り顔を紅くする彼女に彼はヘラヘラと嘯いてみせる。
そして,ベンツに更に金を投じて付けた映画館並みの音響機関を起動させる。

カチッ___
「あっ,ははっ♪じゃぁ,クールな感じの奴頼むよ?」
「よっしゃっ,じゃぁ十五番でまぼらばの世界へ行きますかお嬢様!」

そう言って,翔兵は選曲通り十五番を掛ける。織姫も翔兵も共通して好きなナンバーだ。
余り有名なバンドではないが切なくもストレートで感情的な熱くクールな雰囲気が二人の心を昂らせる。

その曲を聴きながら二人は家へと帰宅する。
こんな生活が続く様になったの織姫にとっては日が浅くこの四年近くの付き合いの中で
此処,三ヶ月程度だ。織姫は今でも一護の事が好きだ。だが,彼はたつきが居る。
死神と関わるようになってもう数年,時は動いた。身を引くことも覚えた。
新たな男を見つける事も出来た。石田雨竜も織姫に好意を寄せていたが,
彼は男と言うより普通の友達として見ていてだから野性味ある翔兵と付き合った。
心優しい彼女にとっては英断だった。

「着いたぜ………ん?」
「くーくー」


「寝ちまったか」


翔兵は車を車庫に入れて白雪姫のように眠った姿の美しい自らの姫をお姫様抱っこして降ろした。

『……………死神が敵ならコイツ等はどうなんだ』

ふと何時もの疑問が頭を過ぎった。
そんなモヤモヤを度数の強い酒で吹き飛ばしてやろうと彼は台所の冷蔵庫に向かう。
冷凍庫で冷やしたアルコール度数30パーセントと言うウォッカを手に取りコルクを外す。
自分用のコップに継ぎ氷を入れる。そして,四十インチのハイビジョンのある部屋へと向かう。
高級そうなソファーに派手な音を立てて座りカランと氷とコップの淵をぶつけ合い鳴らし
先ずは甞める様に呑む。


「喉が熱いぜ……焼ける様だ!下らない妄想も忘れられる!!」
そう言って一気にグラスに少なめに入れられた酒を飲み干す。

度数の強いそれは直ぐに体に影響を及ぼし体が火照る。
彼はそのまま,ベッドに入り目を瞑った。


=============

翌朝___
彼は仕事場へと通勤する途中。
電車の中……ギュウギュウと鮨詰め状態で目的の場所へと向かう。
場所は新宿区のID企業だ。彼は其処のマネージメントをしている。

趣味と実益を兼ねたPC技術の賜物により研磨した技術を見込まれ就職できた場所だ。
特殊技能を有しているのでそれなりのポストにいて給料は年齢不相応に高い。
彼は,職場では不器用でストイックな印象で女性受けしそうな容姿だが敬遠されがちだ。
最も彼にとってそんな事はどうでも良いのだが…
夜八時頃,仕事場を出る。隣の大型店舗のダイヤの指輪が目に入る。

今日は丁度給料日だ。


『似合いそうだな……金にも余裕は有るし買ってやるか』


翔兵は硝子越しの指輪を見て財布に手を掛けながら思う。
そんな折彼は府と織姫と同じ屋根の下で生活するようになった切欠を思い出す。


___榛原君


何だ?_______


____大好キ♪


一番は黒崎ダろう?_____

____黒崎君ハ太陽で榛原君は…オアシスかな…


?_____

______詰リどっチモ一番何だよぉ♪黒崎君はあたシを照ラシてくれる明るイ存在で
              榛原君はアタしに新しい風を与エてクれる生キル為の潤いで————



結婚すルンなら……やっパり



結婚?——————



彼女は黒崎を無理と諦めたんじゃなくて自分の本能に従順に彼に結婚を申し込んだのを理解した。
だから,その時彼は彼女を抱き締める覚悟をした。
丁度,その頃になり霊王達に喧嘩を売る下準備が整ってきて少しゆとりが出来たと言うのも有る。

「____ふぅ,寒くなってきた…中入ろ」

そう言って手を擦りながら榛原は有る程度暖かい店内へと入る。
もう,クリスマスも目前で雪がチラついても可笑しくない季節だ。



                                    ____冬


___________

仕事も終りダイヤも買って外食を取り彼は帰路に立つ。空座町まで約一時間,翔兵は仮眠を取る。
目を覚ますと空座町の二つほど前の駅だった。電車でそのまま行けば精々5分。
歩いても一時間等掛からず着く。彼は少し頭を冷やそうと思い其処で降りて歩き出した。


「ふぅ,イルミネーションが派手に成ってきたな」
そんな独り言を言いながら家へと着く。
時間にして十時頃だ。何時もこの時間になるように計算して彼は来る。
当然,織姫も外に出て待っている。


「只今」
「おかえり…今日も一緒して良い?」


「当然♪」


そう何時も通りの会話をして二人は車庫へと向かい車に乗る。
そして,翔兵のギアを入れる手付きからシートベルトの着用の仕方まで彼女は細かく見る。
翔兵は恥かしげも無く慣れた手付きで行い車を発車させる。
何時も,少し違う道を歩く。今日は気分的に大きい道より細い曲りくねった民家付近を歩いた。
雰囲気に有ったレトロな音楽を着けて…
その時___


ズッ



                         ————死神ノ霊圧!


キュキュキュキュキュゥッ!!


「榛原君!?」
「織姫ちゃんは車で待ってな!」


「待ってよ!?死神さんの霊圧だよ……雛森ちゃんのだ………なんでそんなに過敏なの!?」
「女の子か………」

コクリ

「多分俺が狙いだ」


突然,降り立った現世には不似合いな虚の物とは思えない大きく澄んだ霊圧。
彼は其れを察知した瞬間,無料駐車可能な場所にドリフトして綺麗に車庫入れして車を飛び出した。
織姫の顔が逡巡としている。どうやら相手は霊圧どおり心優しい女性の様だ。
だが,彼にとってそれは関係ない。恐らくは彼の存在を張っていたのだから…


ザッ


「榛原翔兵さん…ですね?」
「織姫ちゃんから名前聞いてる…五番隊だな?雛森ちゃんってんだって…」

「はい,貴方を拘束しに着ました…出来るなら傷付けたく」



                                  ドスッ————


「え?」



「俺もだよ…出来るならアンタみたいな可愛いお嬢さんを刺したくは無い」


ドッ…
「そんな……あたしは」


ハッハッハッハッハッハッハ


翔兵は一歩の迷い無く霊圧の発生源へと向かい彼女と対峙した。
印象は見るからに優しそうで母性的,肩幅は狭くて少し気弱そうだが綺麗な顔立ちをしていた。
声色も愛らしく黒々さは存在していなかった。だが,矢張り拘束ないしは討伐の命が出ている。
彼は容赦なく彼女の腹部に斬魄刀を刺した。雛森は崩れ落ち血の海に体を埋め喘いだ。

其処に織姫が来る。
雛森の霊圧が行き成り消え掛けたのを察知して驚愕したのだ。
そして,六花の力を使い此処まで来た。
織姫の顔は翔兵の体の後に横たわる幼い容姿の友人の姿を目に写し嗚咽に歪む。

「____何で?」
「俺にとって死神は敵だ…」

「えっ?」


今迄一度もその様なことは聞いた事が無かった。
そう言う風情で織姫は呆気に取られる。
その瞬間不穏な霊圧を感じる。そして,翔兵を突き飛ばす。


ドッ!


「織姫ちゃ————…」



                                   ズバアァッ!!

                織姫の背中ニ斬撃が命中シ織姫ハ倒れ伏しタ_____




「あっちゃぁ,グラサンの野郎が庇うと思ったんだが逆かよ…最悪!」


ビキッ…


その攻撃の正体を視界に納め翔兵は憤怒する。
テンガロンハッドを被った男は睥睨されながらも全く怖付いた様子も無くマァマァとぼやく。


「___愛した女なら身を呈して護るのはお前だろ?」


フッ___
「死ぬか?」
「あっ,お前が俺を………俺を誰だと思ってる?無理だろ?」



ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…


二人の距離は狭まり二人の視線が火花を散らす。
思っていたよりも遥かに早く敵が現れた。しかも単独行動で……
今,翔兵は最高に怒っている。目の前の奴に…織姫の一族の復讐心を燃やしている。
復讐の幕開けが………唐突に訪れた———————————……



                                    ∞END∞


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