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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 戦国BASARA【漆黒の忍-宿命を背負い生きるべく-】 ( No.24 )
- 日時: 2010/05/31 20:41
- 名前: 綾姫 ◆WHl7i9DA7w (ID: F35/ckfZ)
第拾壱話「愛葬-あいそう-」
「さぁ、殺してくれ……」
その声が懇願しているように聞こえた。
「……」
そのすべてを諦めたような顔と声に、辛そうな表情。
「……死にたいのですか」
「もう、生きるのに疲れたってか」
自身を嘲笑うような笑みだった。最後に見る白夜の笑みが自嘲的な笑みなんて……。
「死ぬなら、美麗の手で死にたい」
「……」
そう言われた途端、白夜を思い切り押し倒し、その上に馬乗りになる。
「ありがとな」
男性にしては細い綺麗な首に手を伸ばす。
白夜が目を閉じたのを合図に、その掌に力を込める。
「……」
泣けない自分を呪いたくなった。
「くっ……」
苦しくなってきたのか、その喉が浮き上がる。思わず力を緩めると、
「……これで、いいんだ……」
苦しそうに、それでいてやはり自嘲的な笑みを見せた。
「……」
白夜を苦しめるくらいなら、一瞬で……。そう思い、渾身の力で首を絞める。
「……」
最期に、白夜の掌が美麗の頬を伝った。
「……」
死んで重くなったその身体を抱きしめ、泣きたかった。ここが戦場ということも忘れ泣きたかった。
だが、泣けない。感情を忘れた愚かな女の結果だった。
「……政宗様」
早く政宗様の所へ向わなければ。感傷に浸っていられない。
「……」
白夜のその死体を名残惜しそうに地面に戻す。美麗が去ったのを見て、小さな声が聞こえた。
「だからお前は三流以下だって……」
目には涙を溜めていた。
愛故に葬る。この感情は────
愛葬-あいそう-
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