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第壱話「愚かな忍」

「朝から精が出るね。もうアンタは強いんだし、そんなに鍛錬する必要も……」
人が少ない所で銃の実弾訓練をしていた。
「何を言っているの。日々の鍛錬で強くなるのよ」
「お堅いお嬢さんだこと」
でも、とってもかわいそうなお嬢さんなんだけどね。
「……白夜、今夜もいい……?」
自分でも辛そうに言葉を紡ぐ。
「ん? あぁ……。いいよ」
「……ごめんなさい……」
誰かに愛されていないと、誰かのぬくもりを感じていないと不安でたまらない。愛されていると実感しなくては死んでしまいそうなほどに辛い。
「……」
何故こうなったか解らない。夜は誰かと過ごさなければ死んでしまいそうなくらい辛い。
人肌のぬくもりを感じていなければ壊れてしまいそう。誰かが自分を愛してくれていると感じなければ泣きそうになる。
「謝る必要はないってね。アンタ、誰かいないと死ぬだろ? 確実に」
いつだったか、俺の仕事が長引いて俺がいなかった日、小刀でのどを切ろうとしていた。
「本当、女として最低ね……」