二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 大好き,伝えたい。 ( No.21 )
- 日時: 2010/06/04 21:51
- 名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
ある晴れた日。
僕に初めて、好きな人ができました。
Х 心の形 Х
#01 - 好きな人ができました。
僕が君を好きになったのは、つい最近のこと。恋する、という体験は初めてだった。
今、中学二年生。みんながよく好きな人の話とかしてるけど、最近初めて好きな人ができた僕にはよくわからなかった。
中二で初恋、なんて可笑しいのかな。早い子はもう、幼稚園のころから恋してるっていうのに。
それに僕が君を好きになったのは、まるで少女漫画のようなことが切っ掛けだった。
——僕の落ちた消しゴムを、君が拾ってくれたから。
そう、ただそれだけ。今思っても、本当に少女漫画みたい。自分でも笑うことができる。
それでも僕は、君のことを好きになって。初めて『好き』っていう感情を抱いて。
なんで僕は君の事を好きになったのか。そんなの、はっきりとはわからない。
でも君は、とても綺麗な目をしているね。
きっとそんな君に、僕は惹かれたんじゃないかなぁ。
中二になって、そろそろ二ヶ月が経つ。それなりにクラスにも馴染めてきたと思う。
僕の席は、君の隣。この間席替えをして、……僕は君と隣の席になって。そして、君に恋をして。
普通に男子と喋ってる子を見ると、いつも思う。
——なんで僕は、君に話しかけることができないんだろう、って。
友達になりたい。喋って、一緒に笑って、君に僕の名前を呼んでもらいたい。
でも僕は、そんなこともできなくて。……結局、君の横顔を見ているだけなんだ。
僕が、臆病だから。もし君と話して、君に嫌われたら嫌だから。
だから僕は話し掛けれずに、……話しかけなければどうにもならないってことを、わかってるはずなのに。
「……僕に強さをください、」
僕はどうしようもないほどに弱くて臆病でちっぽけで。神様に祈ることしかできない、小さな存在。
もう、頭がどうにかなりそう。君と話したい。近くにいるのに、なんで君はこんなに遠いの?
「——ねえ、かみさま」
こんな日々が続いたら、頭がどーにかしてしまいそう。
**
ぼふんっ、と倒れるようにベットに寝転んだ。帰ってきたばっかりで、制服のまま。
皺がつくからやめなさい、って言われてるけど別にちょっとぐらいならいいよね。
教科書がいっぱい詰まった思い鞄なんて、床の上に投げ出して。
思いっきり肩を伸ばして、ゆっくりと目を瞑るの。
別に、眠るわけじゃない。いや、確かに気を抜けば眠ってしまいそうだけど——僕は今日も、こうして君の事を思い出す。
ぎゅう、って捻られてるような息苦しさが胸につっかえている。毎日毎日、こんなの。
ああ、今日も話せなかったなぁ。話そうと努力はするんだけど、……やっぱり僕は臆病で。
「……はぁ」
もはや毎日の日課と成りかけているため息を吐き出して、僕は目を開けた。
なにも変わらない。いつもどおりの僕の部屋。いつもどおりの風景。
それはあまりにも当たり前なことで、目を開ければなにかが変わるんじゃないかって期待している僕は、夢見がちにもほどがある。
自覚しているんだけれど、……なにも変わらなさすぎて、哀しくなってきて。
ううん、本当はわかってるの。悪いのは、自分だって。
なにも変えようとしない自分だって。わかってるけど、どうしても行動に移すことができない。
こんな僕を、どうしたら変えることができるのだろう。
いつものようにそう思って、僕は起き上がる。そして机のほうへと歩いていって、机の上にあるノートを手に取る。
普通の大学ノート。タイトルは【君に伝えたい】。なんだか漫画とかにありそうだなぁ、なんて今更思う。
本当はただの日記で、題名なんてなにも書いてなかった。だって、『日記』て書いてあると他人が読みたくなるから。
誰にも見られたくないから、あえて無題にしていたんだけれど。
君と出会って。このノートには、名前がついた。名無しのノートじゃなくなった。
僕はノートの傍らに置いてあるシャーペンを手にとって、もう一度ベッドにダイブする。
ノートを開く。ぱらぱらと無雑作に何ページかめくっていくと、ほぼ真っ黒になりかけた一ページを見つける。
これが、僕の探していたページ。
「……凄い量」
一ページの中に、細かい小さな字でたくさんの言葉が紡がれている。
自分で書いたのだけれど、……自分でも驚くほどびっしりと書き込まれていた。
後、三行残っている。僕は今日も、シャーペンでそのページに言葉を書き連ねていく。
『今日も話しかけられなかったよ』
『いつかは話しかけられる時が来るかな』
『僕のこの気持ちは、嘘じゃないよね』
『伝えたいよ』
『つたえたい』
『君のことが、大好き』
——僕の想いのつまった、秘密のノート。
今日も僕は、君への想いを言葉にしていくの。
#02へ続く*
ミクが僕っ娘になった。僕っ娘って可愛いよね。