二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ちっぽけな,僕の言の葉。 ( No.34 )
- 日時: 2010/06/09 21:02
- 名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
壊れた心は、もう元には戻らないのでしょうか。
(できることなら教えてもらいたいものです。ねえ、かみさま?)
#04 - がらくたあつめ
崩れて消えた世界。割れて砕けた僕の心。君に伝えたくて飛ばしたはずの、紙飛行機。
けれど僕の想いは君に届かなくて。……ううん、想いは確かに君に届いたの。
ただ、届き方が悪かっただけ。
ねえ、そうだよね?
やっと、形にできたのに。君への想いを、しっかりと自覚したのに。
形にした、はずなのに。心は、砕け散ってしまったの。結局僕の心は、弱くて臆病で脆いんだ。
いくところなんて無かった。涙が溢れてきて、見られたくないから俯いて我武者羅に走っていた。
保健室に行こう。僕がそう思ったのは、一階に辿り着いた時のことだった。
熱とか無くても、泣いてたりしたら多分休ませてくれるだろう。咲音先生は、優しいし。
もう、教室になんて戻りたくなかった。友達さえ、僕を見てにやにやと笑っていたのだから。
僕がレン君を好きなことを、友達は知らない。誰も知らない。知っているのは、この僕だけ。
——だって、怖かったから。
初めて人を好きになって。初めてこんな感情を手にして。初めてみんなの言ってることが理解できて。
嬉しいような気持ちと、恥ずかしい気持ちがぐるぐるに融け合わさって。
そこから生まれたのは、『怖い』という感情。なんでそんな感情が生まれたのか。
きっと、誰かにバラされてレン君に僕の想いが伝わってしまうのが嫌だったんだと思う。
——ううん、違う。
確かにそういうのもあったのだろうけれど、……僕が一番怖かったのは。
レン君に、僕の想いを拒絶されることだったんだ。ああやっぱり僕は、レン君のことが好きなんだね。
**
「……初音さん? どうしたの、初音さん!?」
顔を伏せて、ひたすら走って。やっと保健室に辿り着いて、僕はノックもせずにドアを開いた。
多分、僕の長い髪でわかったんだろう。ここまで長い人はいないから、よく長い髪で先生に覚えられている。
一週間ぐらい前、体調を崩して保健室に来ているから余計だったんだろう。咲音先生は、すぐに僕だとわかったみたいだ。
「……せん、せい……っ」
ゆっくりと、顔を上げる。涙はまだ溢れていて、世界も咲音先生の顔もぐちゃぐちゃに歪んでいた。
腕で、涙を拭う。けれどすぐに涙は溢れてきて、……止まらなくて。
「初音さん、どうしたの?」
咲音先生がそう聞いてくれるけど、僕は今なにも言えなかった。
きっと、何か言おうとすると口からは泣き声しか出てこないだろうから。
「……とりあえず、ベッドに寝てなさい。落ち着いたら、先生呼んでくれればいいから。……ね?」
立ち尽くして泣き続ける僕に、咲音先生は優しくそういってくれた。
それから、ベッドのほうへと促してくれる。やっぱり、咲音先生は優しい。
僕は返事をすることもできなくて、ただこくこくと頷いた。
「あたしは職員室にいるから、……なにかあったら呼んでね。担任の先生には、連絡しておくから」
咲音先生はそう言い残すと、ここから出て行った。僕のいる場所からは、見えなかったけれど。
ドアを閉めるのが、音でわかった。横にはベッド。周りは薄い青色のカーテン。
ここなら、誰にも見られない。ここには、僕だけしかいないんだ。
「……れん、……くんっ……!」
それを自覚した瞬間、僕の口から泣き声が迸った。
**
あれからどれぐらいの時間が経ったのだろう。一時間目開始のチャイムを聞いたっきりだ。
時計はこの位置からは見えないから、見に行こうかと思った。
でも、なんだか体が重くて。時計を見に行く気には、なれなくて。結局僕は、ベッドの上で寝転んだままだった。
やっと、涙は止まった——かのように思えたんだけれど、結局涙はまだ滲んできた。
僕の涙って、枯れないのかなぁ。
「……れんくん」
ため息交じりに、僕の口からそう言葉が吐き出された。
レン君、今どうしてるんだろう。僕のこと、どう思っているんだろう。
僕のこと、嫌いになってないかな。これから、僕と喋ってくれることはあるのかな。
——ねえレン君、教えて。
——レン君は僕のこと、どう想ってますか?