二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 僕の誓い,君の声。 ( No.36 )
- 日時: 2010/06/09 21:49
- 名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
レン君のことが好き。わかっていた。そんなこと、最初からわかっていた。
けれどそれをはっきりと自覚したのは、今になってだった。
昨日。紙飛行機を飛ばした昨日。昨日も、レン君のことが好きなんだって実感したけど。
今日はもっともっと、実感するハメになったんだ。
悪いのは、僕。誰が紙飛行機を拾ってきたのかは知らないけれど、飛ばしたのは僕。
だから僕が、悪い。ああ昨日、紙飛行機なんて飛ばさなきゃ良かった。
そもそも紙飛行機なんて折らなきゃ良かった。それよりも日記なんて学校に持ってこなければ良かった。
……違う。まず、レン君のことを好きにならなければ良かったんだ。
そう、きっとそう。
「悪いのは、僕。レン君のことを好きにならなかったら、こんなことなんて——っ……」
——本当に、そうなの?
——僕、レン君のこと好きにならなきゃ良かったって、本当に思ってるの?
レン君は教えてくれた。『恋』っていうモノを。『好き』っていう気持ちを。
レン君は教えてくれた。こんなにも世界は輝かしいってことを。
レン君は与えてくれた。僕に色んな勇気を。レン君がいたから、僕は頑張れたんだ。
苦手な、体育の授業だって。絶対無理だと思っていた、数学のテストだって。
——クダケタココロハモトニモドラナイ——
レン君に僕の駄目なところ見られたくないからって思って、頑張れたんだ。
あまり、レン君と喋ることは無かったけれど。
それこそ、なにかを拾ってもらったり勉強中だけのことで。
とてもとてもささいな、けれどちゃんとした大切な幸せで。
——ダカラアタラシイ——
レン君は、僕に幸せをくれて。恋するだけで人はこんなに変われるんだって、僕に教えてくれて。
だってほら、今だって。レン君のことを考えるだけで、冷え切っていた心が段々あったかくなっていくのがわかるんだもの。
——カタチヲツクルヨ——
ほら、認めたらいい。僕はレン君のことが、『大好き』なんだ、って。
レン君のことが好き。大好き。好きにならなきゃ良かった、だなんて本当は思ってないの。
そして今も、レン君のことが好きなんだ。心は壊れてしまったけれど——
また新しい、形を作ればいいのだから。
——キニツタエタイ——
脆くて壊れてしまったのなら。もっと強くて頑丈な心を作ればいい。作り直せばいい。
君に伝えたいと、本当に僕が望んでいるのならば。きっと何度でも、作り直せるだろうから。
——キミニツタエタイ——
ちゃんと君に、伝えたいな。僕の想いを、気持ちを、感情を、心を。
口で、君と向かい合って。伝えたいよ。こんな中途半端で、終われるはずがない。
確かに、怖いけれど。それでも、この想いを。しっかりと君に伝えなきゃ、僕は——!
——ツタワラナクテモ——
もし君が、僕の想いを拒絶しても。僕の想いが、君に届くことは無くても。
僕は、
——カタチニスルヨ——
強くて頑丈な、きっと壊れないような形にするから。
僕は、逃げない。逃げないから。君と、向かい合うから。
もう神頼みなんてしない。紙飛行機に想いを乗せて、『君に届きますように』なんてしないから。
自分で、君に届くように頑張るから。
僕のこの感情は、誰もが持つようなありふれたモノだけれど。
僕のこの言葉は、誰もが簡単に言えるありふれたモノだけれど。
僕のこの心は、壊れやすいちっぽけなガラクタだけれど。
そんなガラクタをかき集めて、形にしていくの。ただのガラクタじゃないんだから。
僕の君への想いが詰まっているのだから。
一度、心は砕けてしまったけれど。一度、失くしかけたこの感情だけれど。
今なら、わかる。言える。誓える。君への想いを、『形』にすることができるって。
僕は、レン君のことが好き。それはどうしようもない事実で、……ただ、それなだけ。
そう僕が心の中で呟いたとき、一時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。
そろそろ、教室に帰ろう。きっとみんなだって、あんなモノでいつまでも騒げるはずがない。
それに、僕はレン君のことが好きなんだから。それを僕は、自覚することができたのだから。
誰かに『鏡音のことが好きだろ?』って聞かれたら、『そうだよ』って言えばいい。そうでしょ?
「——初音ッ!」
がら、と勢いよく開いたドア。そこから飛び込んできた声に——
——僕の作り直したモノに、ばきばきと亀裂が入った。
#05へ続く。
下手したらヤンデレそうなミク。次で終わりです。
シリアス・ダークにも小説立てよっかな、とか←
ちなみに>>34の続きです。#04の続きでした。
一部誤字ってました。修正しました。すみませんでした。