二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

人殺し,なんて素敵な響きなの! ( No.5 )
日時: 2010/05/31 20:36
名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)

私、人を殺しました。


     【 あぁあぁあぁああぁあぁああぁ 】



  #01 - 私、人を殺しました



 ぴちゃぴちゃとはねる生温いソレが嫌になって、私は服が紅くなっているのにも構わず家の外に出た。
 中は悪臭でいっぱいだ。ちょっと、あの中にはいたくない。別に対して思い出もない家。
 もう、ここには帰ってこないでもいいだろう。

「みらい」

 開けっ放しのままの玄関の扉から、外に出る。外は、やっぱり真夜中なことあって真っ暗だった。
 なんとなく、ぽつりと呟く。自嘲的な響きを込めたつもりだった、あまりその声は響いてくれなかった。
 ……響きを込める、と声が響く、というのはまた違うことか。ああもう駄目だ、なんだかくらくらしてる。


「くらい、ね」

 でも続けて、呟く。誰かに、今の私の現実を突きつけて欲しかったから。別に、それ以外の意味は無い。
 自分で言ったとこで、どうにもならないことは私が一番わかっている。……はず。自信は無い。
 少しでも、少しだけでも。ほんのちょっと触れている剣先が、徐々に食い込んでいくように。
 私は、私に今の現状を理解してほしかったんだ。——まぁでも、そんなこと簡単にできるわけもなく。

「わたしのじんせい、ばいばい」

 なんだか救われない気持ちになって、あながち的外れでもない言葉を私は目の前に広がる闇に向かって吐き出した。
 もちろん、返事が来るはずもなく。ただ私の言葉は、虚空の中で綺麗さっぱりに消えていくだけなのだ。


**


 真っ赤になった上着の右ポケットをまさぐってみると、携帯は落ちずにちゃんと入ってくれていた。
 幸い携帯は濡れていなく、使えるようだ。良かった、と思わず言葉が口から洩れる。
 ふぅ、とため息にも似た安堵の息をつきながら、私はその場に座り込んだ。

 からん、と小気味いい音を立てながら、今まで私がずっと持っていた紅く塗れた包丁が地面に落ちる。
 携帯を持っているほうの手——つまり左手は、宙で振ったり服で拭いたりしてもう多分血はついていない。
 けれど右手はずっと包丁を掴みっぱなしだったので、もちろん血はついている。ぬるぬるして、気持ち悪い。
 砂で拭いてもいいけれど、砂がべたべたとつくのは嫌だなぁ。……まぁ別に、このままでもいっか。

「待っててね、カイト君」

 私は特に意味も無くそう呟き、携帯を開く。そして既に暗記しているカイト君の携帯番号を押していく。
 多分、起きているだろう。もう一時過ぎだけど、多分カイト君は今年受験だしテストも近いし……勉強してるはず。
 出てくれなかったら、その時は——朝まで待とう。朝になったら、電話しよう。うん、それでいい。

「今の私の未来は真っ暗だけど、……カイト君がいれば、輝いているから」

 思わずにっこりとしながらそう呟いてしまった私は、携帯を耳に当てる。
 ぷるるるる、と呼び出し音。三コールぐらいしたのちに、つながった。

『はい、もしもし』

 眠たそうなカイト君の声が聞こえてきた。ああ、寝てたのかなぁ? もしそうだったら、悪いことしちゃった。

『……ミク? どうしたの、こんな時間に』
「いきなりごめんね。……あのね、またお母さんと喧嘩しちゃって」

 喧嘩、なんて生半可なモノではないのだけれど。それでも間違っているわけではないと思うので、そういっておく。
 本当のコトを今ここで伝えて、……カイト君に嫌われでもしたら嫌だし。

『え!? だ、大丈夫? 今どこにいるの!?』
「私は大丈夫だよ。私の家の裏に、小さな林があるでしょ? あそこにいるの。今から——」
『すぐ行くよ! 待ってて』

 ぶちっ。一方的にカイト君のほうから、電話が切られた。
 私は、カイト君の言葉が嬉しくて嬉しくて、仕方が無かった。
 やっぱりカイト君がいれば、私の未来は輝いてる。……これからもよろしくね、カイト君。



          〜#02へ続く。






ヤンデレた。ごめんねミク。ごめんねカイト。