二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【VOCALOID】×【イナズマイレブン】 ( No.132 )
日時: 2010/06/22 20:22
名前: *yuki* ◆R61No/hCwo (ID: yjS9W/Zh)
参照: 期末テスト終わったぁー!!!!!

黒い服を身にまとい、町を往く少年———、風丸。

美しい空色の髪はフードに隠れ、吸い込まれそうな紅い瞳は、哀しげな光をはなっていました。

その瞳は、あるものが視れませんでした。
それは、死を近くに迎えた人間の、影でした。

……また、視えない。
この人も。

なぜ、自分は、それを知りながらも、なにもできないのか。
どうして————。


「夏未お姉ちゃん!」

明るい声が、風丸を振り向かせて。

「!…………」

風丸は、またもや、眼を伏せました。
けれど、いつもなら立ち去るところを、なぜか離れずに——、いえ、離れられず。

「ねえ、お姉ちゃん!」

紅髪の少女は、幼い子供の声に気づかないのでしょうか。
どこか、遠くを見ていました。

「夏未お姉ちゃんってばっ!」

「……あ、ミクちゃん!久しぶりね。」

子供が大声を出すと、やっと少女は気付いたようです。

「どうしたの?元気、無いよ……。」

子供……ミクは、不安そうにそう言います。

「そんなことないわよ、ゴメンなさいね、今考え事してたの。」

少女、夏未は首を振って。にっこりと微笑みました。

遠くの方から、ミクを呼ぶ声が聞こえてきます。
それに気づいたミクは、なにかを考えつき。
夏未の顔をじっと見ました。

「じゃあ、約束して!」

すると、ミクは小さい小指をすっとだしました。

「今は、時間ないけど……また今度、絶対遊んでね!」

晴れ晴れとした笑顔。
それに、夏未も笑顔で答えます。

「ええ、約束するわ。」

小指を、きゅっと結びました。

そして、ミクは母親のもとに走り寄っていき。
一度振り返ると、夏未に向かって「バイバイ」と手を振りました。
もちろん、彼女も振り返して。

すると、そばにいた、執事らしき人が、夏未に話しかけました。

「もうそろそろ、お帰りになられては、夏未お嬢様……」

「……わかったわ。」

夏未は軽くうなずくと、
人が多い道の中を、そんなことは気にせずかのように、歩いていきました。



そして、それを見ていた風丸。
彼は、知っていました。

彼女が、ミクとの約束を、守ることなどもうできはしないということを————。