二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【VOCALOID】×【イナズマイレブン】 ( No.133 )
日時: 2010/06/23 20:21
名前: 空紅 ◆.cU92yuIQo (ID: hi4BpH9d)

屋敷に帰った夏未。

「お帰りなさいませ。」
「お帰りなさい、お嬢様。」

執事達が次々と頭を下げ、帰ってきた夏未を迎えます。
夏未は少し微笑みながら、屋敷の廊下を歩いていきます。

———そのとき。
微笑んでいた夏未がいきなり顔を歪め、その場に座り込みました。

「ゲホッ、ゲホゲホッ……。コホッ!!」

白いワンピースに飛び散るまだら模様の血。
真っ赤な血が、ワンピースを紅く染め上げて行きます。

「お嬢様!?」
「お、おい!大変だ、医者を呼べ!!」

すぐに駆けつけて来る専属の医者。
咳き込んでいる夏未の横に座り込み、脈拍を調べ始めます。

「夏未!!」

伯爵夫人———夏未の母も、その場に走ってきました。

それから少し経って。
医者は立ち上がり、哀しそうに首を振りました。

「夏未……。」

ふらっ、とよろめいた夫人を慌てて誰かが支えます。

「手遅れ……です。持って2、3日が限度ですね。」

そう告げる医者を、夏未は冷静な目で見つめました。

「なら、殺してちょうだい。」
「!?」

人々の間に、衝撃が走ります。
お互いに顔を見つめ、首をかしげるばかり。

「夏未……?今、なんて……。」
「殺してください、母上。どうせあと何日か生きるだけなら、
 今殺されたって大差ありません。」

そう言った夏未は、自分の部屋に戻って行きました。


部屋の中で、夏未は考えます。

(そう、殺されたって良いわ。変わりないわよ……。)

考えていた夏未は、人の気配で我に返ります。
部屋のすみに鋭い声を放つ夏未。

「だれなの!」
「……本当に、それで良いのですか。」

部屋の影に溶け込むように立っていたのは、

風丸でした。