二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【VOCALOID】×【イナズマイレブン】 ( No.145 )
日時: 2010/06/26 14:42
名前: *yuki* ◆R61No/hCwo (ID: yjS9W/Zh)

「お嬢様、お薬の時間です。」


あの、首飾りを買った日から一週間がたちました。

夏未の身体は徐々に弱っていき、
「もう期限が近い」と、誰もが悟っていました。

しかし、「持って2、3日」そう言われていたのに、ここまで生きていたこと。
それは奇跡。

だからこそ、夏未が死ぬまで、精一杯気遣わなければ。
大人たちは、皆、そう思っていたのです。

けれど、夏未は、そんな気遣いなど、必要ありませんでした。

欲しいのは、彼。
死神が、来てくれること。

それだけを待ち望み、夏未は、何回も死にそうになりながらも、生きていました。

「お嬢様?大丈夫ですか……?」

渡された薬を飲もうとしない夏未に、家政婦が声をかけます。

「……大丈夫。」

夏未は、どこか一点を見続けながら、一言、そう言いました。

その紅い瞳に映るのは————、かすかな、“希望”。



「ねえ。」

夏未は家政婦の顔を見ました。

「は、はい、なんでしょう。」

「……そこの。つけたいわ。」

家政婦は夏未が指差した方向を見ます。
あまり動かない、白い細い指の向こうには、

磨かれて、輝く銀色の首飾りが、ひっそりと置かれていました。


(最期に、ね。)