二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【VOCALOID】×【イナズマイレブン】 ( No.154 )
日時: 2010/06/28 17:02
名前: *yuki* ◆R61No/hCwo (ID: yjS9W/Zh)

わかっていた。

死神が誰かを愛したって、絶対に、最後は哀しい結末だということ。

でも、止められなかったから。
この感情を。

なぜ、自分は死ねないんだろう——。

そんなこと、ずっと前から考えていた。
けど、答えはでないことも、うっすらとわかっていた。


でも、このままじゃ嫌だから。
貴女とは、離れていたくないから————。







「……遅かったわね。」

もう、起き上がる事さえできなくなった夏未。
けれど、人の気配を感じることは敏感でした。

「すみません。
……自分の気持ちに、整理がつかなかったものですから。」

二人は眼もあわせず、会話をします。

「あら、死神にも感情があるのね。」

「からかわないでくださいよ……。」

それは、声だけ聞いていれば、普通の、平和な会話で。

「——もう、私、終わりなのよね。自分でもそれは感じるから。
けど、————こっち、来て。」

わずかに動く手で手招きする夏未。
それに反応し、風丸もゆっくりと近づきます。

「私、貴方に出会えてよかった。
どうせ、この病にかからなくとも、同じような人生だったはずだもの。
本当に——、

ありがとう。」

夏未は、そう言っている間、晴れやかに笑っていて。
今すぐ死にそうな病人とは思えない、普通の少女の笑顔でした。

そして、風丸は下を向き、震えながらうなずきました。
何回も、何回も。

「貴方はこれからずっと、生きていくのよね。
もう二度と会えない。
だから、最後に、サヨナラって言いたくて——「最後じゃない!!」

「!?……」

突然、風丸の大声が、夏未の声を遮りました。

「貴女がこの世からいなくなろうとも、私は絶対に貴女のことを忘れません。貴女の、その笑顔は。
永遠に————、この世が果てるまで。」


その言葉を聞くと、夏未は、いったん下を向き、
また、にっこりと笑いました。さっきよりも、もっと明るく。


「ありがとう。」

これで————

『寂しくないよ。』



彼女の、安らかな笑顔を、月が静かに照らしていました。