二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【VOCALOID】×【イナズマイレブン】 ( No.22 )
- 日時: 2010/06/12 11:43
- 名前: *yuki* ◆R61No/hCwo (ID: yjS9W/Zh)
*〜*〜二番目〜*〜*
「どこだ、ここは……?」
にぎやかで、明るい雰囲気の街。
そこのわりと広い広場に、ガゼルは立っていました。
すると、
「お兄ちゃん、どうしたの?」
小さい——、5歳ほどでしょうか、男の子と女の子がガゼルに声をかけてきました。
「悩み事があるの?
ここは、不思議の国なのに。」
「不思議の国……?なんだそれは。」
にこにこと笑顔で話す女の子に対し、鋭くあたりを見まわすガゼル。
……いえ、それは“観察”。
「君たちの名前は?
私がさっきまでなにをしていたか、知っているか?」
気が付いたら広場にいた。見たことのない、広場に。
絶対に、自分の部屋にいたはずなのに……なぜ?
そんな疑問をもったガゼルは、子供たちに問いかけました。
例えこの子供たちがその答えを知らなくとも、他の人に聞けばいい。
そう考えながら。
そして、名前を聞かれて嬉しかったのか、
男の子たちの返答は、また笑顔と共にかえってきました。
「ぼくはレン!こっちはリンだよ!」
「わたしたち、双子なの!」
「……そうか……」
やはり、知るはずもない。
求めている答えをもらえなかったガゼルは、
双子のあとを、足早に去ろうとすると、
「!!」
レンに——腕を後ろから、つかまれました。
「待ってよ。
お兄ちゃん、知りたいことあるんでしょ?
ぼくたちは、知ってるよ。全部、ね。」
伝わってくるレンの手の温度。
それは、ぬくもりなどなく、冷たい、手———。
ガゼルは思わず払いのけようとしましたが、
あの幼い体のどこからそんな力がでてくるのでしょうか、腕から離れません。
「クスクス。ぼくは、レンだよ。
でもね、ぼくは“夢”でもある。」
「アハハ。わたしは、リンだよ。
けどね、わたしは永遠に覚めない、“夢”でもあるの。」
『そして、アナタはアリス。』
二人の笑い声は、輝く太陽まで抑えつけるほど、不気味で、暗いものでした。
そしてその、奇妙な空間に耐えられず。
ガゼルは落ち着いて、言いました。
「……悪いが意味がわからない。
早く、その手を離してくれないか。」
でもその“落ち着き”は、表面だけのもの。
人間のものとは思えない、レンの冷たさ。
それが、ガゼルの“不安”を加速させます。
夢とは、なんなんだ———
あらたに疑問がわきあがってきて。
しかし、その疑問は一生消えることはないと……
ガゼルはうっすらと悟っていました。
(だけど、それを現実にしてはいけない。
絶対に。)
そもそもここは現実なのか。
それすらもわからない中で、ガゼルは必死に自分を落ち着かせます。
「……怖いの?
嫌?不安?変だと思う?」
「そんなことないよ、不思議の国はね、おにーちゃんの国なんだもの。」
『おにーちゃんの世界だよ。』
それでも、たたみかけてくるような二人の言葉に、またガゼルはとまどってしまい。
「怖いんなら、自分が好きなもので、世界を創ればいいんだよ。」
「それなら、大丈夫でしょ。
安心、するでしょ。」
『アナタの、セカイだから。』
頭に直接、二人の声が響いてきます。
ずっとずっと、繰り返される言葉。
それは眼をつぶったって、耳を押さえたって逃げることはできないのです。
「……めろ……」
ガゼルの中の、“なにか”が吹っ飛びました。
「やめろ!!!」
ガゼルが叫んだ瞬間……
あたりは、一瞬で恐ろしいほどの静寂に、包まれました。
すべてが、凍ったのです。