ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

*〜*〜三番目〜*〜*

「ここは……。」

ある城下町の街道。
その脇に、風丸は座っていました。

あてのない風丸は、森に向かって歩き出しました。

「なんだ……？これ。」

そこに落ちていたのはサッカーボール。
ところどころ赤いなにかが付いていましたが、かまわずに
風丸は抱きしめました。

（……帰りたい。どこだ、ここ……。）

そう思ったとき。
風丸の目の前に、誰かが現れました。

桃色の長髪をなびかせたその人は、風丸のほうを見ていました。

「ようこそ、不思議の国へ。私は、”夢”。」
「夢……？」

首をかしげた風丸に、”夢”は微笑みました。

「ここはあなたの願いが叶えられる場所。あなたはアリスとなるのです。」

風丸は、不意にブルブルッと震えました。
アリスという言葉は、なぜか恐ろしい響きを伴っていたからです。

「どうしたのですか？怖くなどありませんよ。」

”夢”の声が、不自然なほどあたりに響きます。

「ここは願いが叶えられる。アリスとなればね。
　そして私は人々の希望の源、”夢”。」

ついに、風丸は小さく……小さく、うなずきました。
”夢”は、また微笑みます。

「ならば、あなたの速さで人々を凌駕しなさい。」

そういうと、”夢”は消えました。
風丸は、ふらふらと立ち上がり、自分を見ました。

見た事もないような綺麗な服。
そのまま、風丸は城に向かって歩いていきました。