二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【VOCALOID】×【イナズマイレブン】 ( No.88 )
日時: 2010/06/18 17:12
名前: *yuki* ◆R61No/hCwo (ID: yjS9W/Zh)
参照: 勉強なんてくそったれ☆

「けど、なにもおこんないね。」

「退屈だな、これじゃ不思議の国じゃない。」

『不思議の国は、もっと楽しいところだから!』

二人は、声がそろったのが嬉しかったのか、アハハ、と笑いました。

すると———、

士朗の笑顔が、ピタリと止まりました。

シュルリ。シュルリ。

不気味な音とともに、茨が、士朗の足にまとわりつきながら生えてきたのです。

茨はどんどん高くなり…………、
大きな華。薔薇を、咲かせました。

「すごいすごい、ねえ、アツヤ、!」

「ホントだな、急に生えてきた!」

でも二人は怯えることはなく。
ますます、その眼に輝きが増します。

「次はどうなるのかなあ?これだけじゃまだまだ面白くないもんね。」

「なにか———、例えば、あの薔薇が喋るとか?」

「あっ、それいいね!」

士朗が、アツヤに向けて言葉を発そうとすると——、

「ようこそ。“創造”の不思議の国へ。」

「!?」

なんと、ずっと上の方から、声が降ってきたのです。
二人はビックリして上の方を見上げます。

すると、見えないほどに高くそびえたつ薔薇が、廻りながら士朗たちのもとに降りてきました。

「……すごおい!アツヤの言った通りになったね、薔薇が喋ったよ!」

士朗はこれ以上はないというような、はちきれそうな笑顔になりました。

「ねえ、君はなんていうの?どうして喋れるの?
僕たちに、なにをしてくれるの?」

次々と薔薇に疑問を投げかけて。
そして薔薇は丁寧に、その質問すべてに答えました。

「僕は“夢”。
でも、呼びにくいのならば、カイトでもいいよ。昔の——、昔の名前なんだ。

……そう、それで喋れる理由は、ココが不思議の国だから。」

カイトは優しい声で言います。

「なにをしてくれるか?
それはね、君たちがしたいことすればいいのさ。
なんだっていいんだよ。
でも……、溺れちゃ、いけないんだ。」

少し暗くなった声。
“溺れる”とは、どういう意味なのでしょうか。

「したいこと……?」

士朗は考え込むようにしました。

「なんだっていいんだ。
なにしたっていいんだ。

だから、だから、君たちもこっちへおいでよ———。」

寂しそうな薔薇。

「この、僕の隣の薔薇だって、いずれは夢になる。
また仲間が増えるんだ。憐れな、仲間が。
でも、もっと欲しいんだ。自分と同じ存在が。」

カイトは、なんだか独り言を言っているようでした。

「ねえ、だから———「決めた!」

士朗はパッと顔をあげて、カイトの言葉を遮りました。

「僕たちは、面白いこと、探しに行くよ!」

と————。

すると、カイトは、いえ、薔薇はうつむいて。

「そう——。」

小さく、一言呟くと、その美しい花びらは枯れ始め。

「じゃあ、頑張って。あのヒトの願いを、叶えてあげて。」

そう言うと、薔薇は消え去り、


二人の姿も、またもや光に包まれてしまいました。