二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【VOCALOID】×【イナズマイレブン】 ( No.97 )
日時: 2010/06/18 21:55
名前: *yuki* ◆R61No/hCwo (ID: yjS9W/Zh)
参照: 勉強なんてくそったれ☆

ベッドも、壁も、床も、全てが壊れ、
闇が、広がっていきます。

そして、なにもない闇の中心に現れたのは———、

黒フードをかぶったヒトでした。

「ククク……どウデした?不思議の国は。

……ああ、ワタシは“夢”ですよ。
あんな生半可なヤツらではなく、スベテを生み出した、夢です。」

夢は、笑いながらそう言うと、真っ黒い腕をサァーッと動かし。

大きな、ブラックホールのような渦巻を創りあげました。

「……君なの?彼を死なせたのは。君のせいなの?」

士朗は、悔しさからでしょうか、震えながら夢に問いかけました。

「イイエ、ワタシのせいではアリマセン。
彼らが、アリスになれなかっただけです。
全部、自分の責任です。」

夢はなおも笑ったまま。

「……ふざけんなよっ!!
なにがアリスだ、勝手にそんなこと言いやがって、
お前のせいで……兄貴が、泣いただろ!!」

アツヤは、一歩前にでました。
巨大な渦を恐れずに、夢を睨みつけて。

すると、夢は大笑いし。

「失礼。ただ、面白いものデネ。
結局はなにもできないゴミが、必死に抗っているのをみるのは。」

「なんだと……!?」

「クク、文句があるのなら、こっちに来なさい。
ワタシに近づけたら、話を聞いてあげましょう。」

夢がそう言うと、アツヤはすぐに行動に移りました。

———なにも、考えずに。
夢の挑発にのせられて。

「待って、アツヤ!いっちゃダメ!」

士朗の声にも答えず。

そして、夢がパチン、と指をならすと————、

「?!!!」


渦が、あっというまにアツヤを包み込みました。
夢の呟きと共に。

「———アナタに足りないものは、“恐れ”。
あったとしても、それは表面的なもの。
アナタは、心の底からは、恐れをもっていない。
自分が負けるはずがないと、馬鹿な思い込みをしているから。」

「そんな、の……」

アツヤの言葉は、渦にかき消されます。

夢は、士朗をチラ、と見て、
……フッ、と笑うと————。

「サヨウナラ、吹雪アツヤ。
“恐れ”を、存分に知るがいい。」


渦は、アツヤを巻き込んだまま、何事もなかったのように、

消えました。









「……どうしたのですか?」

静かになった闇の中で、夢がポツリ、と口を開きました。

「吹雪士朗、アナタにはまだチャンスを与えマス。
ここからでたいのならば、早く言いなサイ。」

士朗は黙ったままです。
けれど、ゆっくり、歩きはじめました。

夢は、そんな士朗の行動を、観察するようにじっと見ています。

「…………アツヤの、マフラー。」

士朗は残っていたマフラーを手にとって。


「これでずっと。
“一緒”だよ。」

首に優しくつけると、にっこりと微笑みながら、
眼を、

閉じました。