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　エルバの前に、エルバの顔。
　バノの前に、バノの顔。
　シャオンの前に、シャオンの顔。
　シュウの前に、シュウの顔。

「えぇ…っと？」

　最初に切り出したのは、エルバでない方だ。

「君は…だれ？」
「いや…君もだれ？」

　エルバも良くわからなかった。
　目の前に、自分の顔と同じ顔。
　しかし、違う動きと違う制服、左にある傷で、鏡ではないことが分かる。

「！」

　エルバは先ほどのことを思い出した。
　理事長室で見た、自分と同じ顔の祖先、『アレン・ウォーカー』

「もしかして君は、『アレン・ウォーカー』！？」

　エルバがいきなり叫んだためか、目の前のそっくりさんはビクッとした。

「あ…はい。なぜその名前を…？」

　アレンと認めた少年は、どこか疑わしい目でこちらを見ていた。

「君の名前は…？」
「僕はエルバ。エルバ『ウォーカー』」

　アレンは驚愕した。

「ウォーカー…？」
「…説明はカーンさんに頼んだ方がいいかも…」
「なんで？」
「まぁ…あれ見ればわかるよ」

　エルバは指である方向を指す。
　それは…。

「テメェ…なんだ？」
「テメェこそなんだ？」
「なんでオレが二人さ！？」
「ドッペルゲンガーさ！？」
「わわ、私が！？」
「貴方は私！？」

　明らかな混乱である。

「…分かりました。エルバ…でしたね」
「とりあえず、カーンさんの所に案内するよ、アレン」

　なんとかここだけ和解することができ、アレンはエルバに従った。