二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D,グレイマンⅡ 数百年後の終焉再来オリキャラ募集 任務募集 ( No.214 )
日時: 2010/07/23 13:18
名前: 亜倉歌樹 (ID: EE/vzbC4)

  裏切り者の血の逃走者

 日本、渋谷の真昼間。
 一人の少年がレコードショップから出てきた。

「やっと買えたさ!! マ〇ケルのCDとDVD!」

 バノはDVDを空高く掲げ、満足そうに溜息を吐いた。
 ここまで来たわけはCDとDVDを買う以外に目的があった。
 本来なら絶対に許されないだろう北海道への、方舟探しに向かうのだ。
 本来エクソシストは、エクソシストと認められた場合、教団に強制入団しなくてはならない。
 そして、二度と家族に会うことが出来ないのだ。
 出る理由としては、趣味の者を自分で探して買いに行く、などでしか許可を貰えない。
 しかも時間制限まで付く。
 なのでバノは、『CDとDVDを買いに行く』と理由づけをし、方舟があると見た北海道へ無断で行く。

「しばらくみんなと会えないのは寂しいな」

 DVDとCDを肩かけが一つのリュックに入れ、空を仰いだ。

「特に、アナとか」

 ひとけのない路地に入った。
 バノはポケットに手を突っ込み、自分の赤い携帯電話をとりだした。

「さて。こっからどうやって成田までいこうかね」

 バノは飛行機で北海道へ行くつもりらしい。
 荷物も資金も、それなりに用意していた。アクマにあったと器用に武器もだ。
 携帯電話のインターネット機能で成田までの道のりを調べていた時だった。

 タッタッタッターラー! ターア、ラーア、タッタッ

 軽快なス〇ラーの着メロが鳴り響いた。メールではなく電話だ。
 通話ボタンを押して電話に出た。

「もっしー? 何か用?」
≪バノっ、今すぐそこから逃げるんだ!≫

 その声は間違いなく。

「エルバ? どした!?」
≪いまそっちに教団の——≫


 ヒュッ!


 背後の塀から。三つの影。


≪——追手が…≫

 バノは後ろの殺気に気づき振り向いた。少し立ち位置を変えて後ずさりをしていた。
 その瞬間、先ほどまでバノがいたところに3つ分の攻撃が炸裂した。

 ドンッ!!!!!!!!!!!!!

「なぁっ!?」

 攻撃の衝撃波でバノはコンクリートに倒れ込んだ。
 携帯電話を落としそうになったが、壊れるとまずいので何とか食い止める。
 そして、ほぼ本能だけで立ちあがって走りだした。

≪エルバ!! どゆこと!?≫

 エルバの携帯電話にバノの声が響く。

「さっき教団内で『ブックマンの血筋を持つものは、伯爵側についている』って情報が流れて…」
「は…!?」

 電話の中の言葉に、渋谷を走るバノは耳を疑った。

≪デマに決まってるさっ!!≫

 エルバはシ———ッ!!! といい、小声で話し始めた。

(今君と会話してる時点で、トイレに隠れてる僕だって危険なんだ! 見つかるのも時間の問題だし…)
≪お、おう。悪い≫

 バノの携帯電話のスピーカーが、エルバの言葉を正確に伝えた。

≪バノ…≫
「なに!?」

 バノはヒーッと言いながら疾走している。

≪僕は信じてる≫
「…」

 その言葉だけで、走る速度が上がった気がした。

「サンキュー」

 バノは礼を言い、電話を切った。