二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 《銀魂》凛として咲く花の如く ( No.23 )
日時: 2010/08/07 17:45
名前: 月兎 (ID: QuEgfe7r)

第参訓「店にいって目当ての物以外も買っちゃうのは人の本能」

「そういえば新八は何買いにってたアルか?」
ソファに置かれたビニールを見て神楽は聞く。

「ああ、銀さんに黒いビニール袋頼まれて」
中から黒いビニール袋をとりだして神楽に見せながら、何に使うんだろうと新八は呟いた。

神楽はそのビニールを見ながらうーんと呻く。

するとまたドアが開く音がする。
それも先程新八が帰って来た時よりも音が大きい為、それが誰かはすぐわかる。

「銀ちゃん帰ってきたネ」

少し乱暴に開けたドアの閉まる音が聞こえてくる。
というよりも、チャイム無しに入ってくるのなんてこの三人以外いないのだから当たり前である。

「お、新八帰ってきてるな。頼んだもんは?」
片手にビニール袋を持った銀時が部屋へ入ってきて、新八の姿を確認すると言う。

「おかえりなさい銀さん、買ってきましたよ」

「おう、、、神楽掃除終わったかー?」
渡された例の黒いビニール袋を受け取ると今度は神楽に眼を向けて言う。

「人に任せといて何アルか!終わってるわけないネ、それより…」
次の言葉を言おうとしたとき

「んだよ、押し入れの下の段ボール外出しといてくれたか?そこ頼んどいたろ」

「一回出したけど埃っぽかったから閉まったアル、それより…」
半分嘘の言葉を言うとまた次の言葉を紡ぐ前に銀時は気付いた。

「おい、その傘…」

神楽の手に握られていたあの傘を見つけると銀時は考え込むようにしながら聞く。

「そうアル!私、これについて聞きたいヨ!なんで銀ちゃんの家にこれがあるアルか!?」
銀時の前に傘をつきだす。

「どうかしたんですか?その傘が」
新八は状況を掴めずに二人に聞くが、その言葉は無視され銀時が言う。

「それ、どこにあったよ…」
思い出したかのように

「押し入れに入ってたヨ、これ【月兎族】の傘アル!銀ちゃんがそうな筈はないしどうしてこれがあるネ」
だって、もう月兎族は滅ぼされたのだから

「それ、アイツのだ…神凛の…」
銀時の口から出てきたのは聞き慣れない誰かの名前だった。

神凛—

それは銀時達と地獄を味わい、ともに国を守る為に戦った一人の月兎族の少女—

今はどこで何をしているのか、生きているのか、それさえも分からない—

だが分かることは—

彼女はこの世界を許しちゃいない、憎んでいるという事だけだった—