二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 《銀魂》凛 と し て 咲 く 花 の 如 く ( No.442 )
- 日時: 2010/10/28 21:41
- 名前: 月兎 (ID: dD1ACbVH)
- 参照: 参照1900突破ノノ
第三十五訓「ジメジメした天気は人の心もジメジメさせる」
「はぁ」
大きなため息が重い空気の流れる万事屋に響いた。
「おいおい、溜息ついてなんだよ」
「はぁ」
雨が地を打つ音が外から聞こえてくる。
神凛は頬づえをつきながら窓の外を眺めていた。
「おい」
銀時は読んでいたジャンプから目を離し、何度として溜息をつく神凛をみる。
「はぁぁぁぁぁぁ…」
「うるせーんだよ!ちょっと黙ってろ!」
苛々が募り、銀時は立ち上がると大きな声を出した。
「ぁぁぁぁぁぁぁ…」
今だ続いている、溜息。
神凛は声を出し続けたまま銀時に向きかえて、眉間にしわを寄せた。
『かめはめはァァァァァァァァ!!!!』
大きな雷の音をバックに神凛は両手を軽く合わしながら某漫画の必殺技を繰り出す。
とても近いところで雷が落ちたようだった。
「かめはめはァァ!じゃねぇよ!溜息ばっか付きやがって、ジメジメジメジメ…ナメクジですかコノヤロー」
銀時の言葉に神凛は力なく、肩を下ろして
「私はナメクジになりたい」
呟いた。
その時戸が開く、急いでいるのが良くわかる慌ただしい音だった。
『ビショビショになるアル!私は嫌ヨ!!』
神楽の声が聞こえてきた。
『そう言われても、仕事なんですからしょうがないじゃないですか』
そして新八と神楽が濡れた足元を拭きながら銀時達のもとにやってきた。
「ただいま帰りましたよ」
「おいおい、濡れるじゃねーか」
文句を言いながら銀時は腰を下ろす。
それに次いで神凛はソファに転がるように倒れると、ジメジメジメジメと呪文のように繰り返す。
「どうしたアルか、コイツ」
神楽は神凛の向かいのソファに座ると、酢昆布を取り出して言うのだが興味は全ないようだ。
「で、なんだよ。」
「?何がですか?」
新八は立ったままで銀時の言葉に聞き返す。
「仕事がなんちゃらっつー」
「そうアル!こんな大雨なのに嫌ネ、しかもなんでよりによってアイツ等のとこなんだヨ!」
神楽が嫌悪感丸出しの言葉を吐く。
そうである、台風が近づいているのだった。
二日ほど前から大雨が降り、雷も近くなってきて江戸は大変なことになっているのが現状だった。
「そうなんです、雨漏りの補強の仕事を突然頼まれて…」
嫌って言ったアル!神楽はそう言うが、銀時はそうでもないように言った。
「雨漏りの補強ゥ?それ雨関係ねェだろ」
不服そうな顔をする二人。
「いえ!それが屋根の方が…」
「ヤバいらしいアル」
…銀時はすぐに嫌そうな顔で
「危ないだろ、駄目だ駄目。まじで、誰だよー。それぐらい自分でやれよ」
文句つらつら。
「ジメジメー」
神凛は屍になってしまったようだ。
「…、それが…」
神凛を一度見てから言う。
『真選組ィ?!』
銀時の声が響いた。
—
「近藤さん、もうダメだ」
土方は部屋の片隅を見上げ溜息をついた。
「そうか、それじゃあしょうがないな…」
久しぶりのゴリ、近藤は顎に手をつけながら言うがすぐに後ろから声をかけられる。
『こんどっち、トシ!安心して!』
声をかけたのはビショビショの洗濯物を抱えている穂乃嘉だった。
「…穂乃嘉ちゃん?!なんでそんなに濡れてんの!」
『残念ながら外に干したんでさァ』
沖田が襖から姿を現して洗濯物を放り投げた。
「…バカだろ」
「いや、一回ものすごく晴れたでしょ?だから…」
台風の目だと思う、それ。
だが誰もその天然な穂乃嘉にツッコミを入れなかった。
そして続ける。
「あ、そうそう。ここ直すの頼んどいたから!」
言った。
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