二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 《銀魂》凛 と し て 咲 く 花 の 如 く アンケート中 ( No.476 )
日時: 2010/11/06 20:22
名前: 月兎 (ID: dD1ACbVH)
参照: 神凛がツンデレな話(笑)

《閑話篇》
第七訓「誕生日おめでとうとか私が弱ってくのを楽しみにしてるアルかコンチクショー」


「神楽のバーカ、バーカ」

「いきなり何アルか、バカって言った方がバカなんだヨ!ぷぷ」

幼稚な会話が、万事屋内に響き渡る。
もちろん声の主は神楽と神凛。

「べっつにィ?何だしー、もういいしー」
神凛はふてくされたのか、なんなのかそう言う。
万事屋内には二人。
今日は仕事が入っていないためか銀時は出かけ、新八は休みである。

「銀ちゃん何処いったアルか、バカと二人は嫌ネ」

挑発的な言葉に神凛はすぐさま
「あん?手前なんだよ、目上の私に対して態度おかしいんじゃねェの?」
いつもは軽く受け流すところを、神凛は怒ったように低いトーンで言った。

「神凛がいきなり話し出すからアル」
話になってねェよ。
神楽はもう慣れたのか、動じない性格なのか神凛の怒りをスルーして続ける。

「欲しいものって、どうしたネ」
「どうもしてねェよ!ただ言ってみただけだよ!」
即答。

思い出すかのように手を顎に当てながら言う。
「アクセサリーアクセサリーってうるさかったアル」
行き詰ったかのように、呻くと神凛は一歩下がって口をパクパクさせる。

顔が赤い?

「ちがっ、いやーアルアルのことだからそういうのは興味ないかなぁとか思って、よ」
目線を神楽に合わせないままでそう言った神凛は一歩一歩と神楽と間を開ける。
「じゃあなんで言うアル?決めつけてたヨ」

そう、神楽が言った直後だった。
戸に手をかけた神凛が大きな音を立てて部屋から姿を消した。

その後に、玄関の戸が開く音がして忙しく外へ出て行くのが分かる。

「?神凛がおかしいアル」
一言、神楽は疑問を呟いた。





『アルアル』
これは時を少しさかのぼっている。
フィクションではない、ノンフィクションだから。

『何ネ』
酢昆布を音を立てて齧りながら返す。
何の迷いもなく、当然に。

『あー』
だが神凛は異様に次の言葉に戸惑っているのか、なかなか話さずに呻っていた。

『なんか欲しいものとかない訳?』

突然。

神楽の昆布を齧る音が止まり、無音の時間。
『いや、何でもないしー』
神凛はすぐそう言ったのだが神楽はと言うと。
『?』
神凛を見てくるので、答えるしかなかった。

『アクセサリーとかアクセサリーとか、なんか無いのかって聞いてんだよ!悪いかコノヤロー』

大きく怒鳴った。

『    』
沈黙。
『なんでアクセサリーアルか、興味ないネ』
そして、最初の神凛の暴言につながるわけなのだが。



「神楽ちゃん、お誕生日おめでとう」

そして、万事屋に来客。
志村姉ことお妙と新八が大きな箱を抱えてやってきた。
「え」

「あらあら、忘れてたのかしら?ちゃんとケーキも用意してあるのよ」
微笑むとお妙は箱をひらく。
「    」
黒い色のケーキが出てきた、予想通りだったのだが。
「あ、ありがとうアル。姉御…」
神楽は新八を睨むと箱を受け取り、机に置いた。

「新八、銀ちゃんはどうしたアルか?」
「さぁ?あの人何処行ったんだろう」

もちろん、タイミングがぴったりなのは言うまでもない。
戸が開く音がして、また誰かが部屋へ入ってくる。
『かぐっ…』

入ってくるなり持っていた箱を上にあげたのだが、すぐに自分の後ろへ隠す。
お妙を見て、新八を見て、その誰かこと銀時は小さくなった。

「銀ちゃん?」

「お、おう神楽。誕生日なんだってな」
…と。いかにも知っているかの口ぶりで言うとカニ歩きで自分のデスクへ向かう。

「おかえりなさい、私ケーキ作ってきたの。銀さんも食べてください」
お妙がお水スマイルを使うと、銀時は首を大きく動かした。
「ああ、うん。ケーキね」
そして、自分の後ろに隠したその白い箱を見えないようにデスクの一番下へしまった。


そして、今度は銀時に神楽が
「神凛はどうしたアルか?」
問う。

「神凛?あ!どうだったよアイツからのプレゼントは」
銀時は神凛と聞いてすぐさまそう言った。
もちろんプレゼントを受け取っていない神楽は
「プレゼントなんてもらってないアル」

「は?アイツ神楽の誕生日が明日だって聞いて、なんかペンダントかったとかなんとか言ってたぜ」

今ので、誕生日が今日だと言う事は全くもって知っていることを暴露したのだが、気付かない。
「ペンダント…?」

そして、思い出す。
神凛が連呼した言葉を。

『アクセサリーとかアクセサリーとか…』

神楽はその後自分が言った言葉を思い返して、言った。
「そういうことだったアルか…」


「なんだよ、まじで」
神凛は外の自動販売機の上で呟いた。
人差し指と親指の間に挟まれて、持ち上げられるのは兎のペンダント。
足を出して、振りながら夕立の空に黄昏た。



一言だけいえればそれでよかった。

でも

自分は言葉で上手く表せないから

「おめでとう」

その言葉と…



神楽の首には兎のペンダントがかかり、神楽はそれを見るなり嬉しそうに笑った。

それを見て微笑んだ神凛の胸元に光るもの。
三日月のペンダントが輝いていた。

そして、白い箱が見つかったのもその後すぐの話。
中には小さなショートケーキが入ってたり…



不器用な二人の不器用な証は神楽に届いた?


「ありがとう、銀ちゃん!神凛!」