二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 《銀魂》凛 と し て 咲 く 花 の 如 く ( No.489 )
日時: 2010/11/13 14:46
名前: 月兎 (ID: kDmOxrMt)
参照: 遅くなったけど朱里誕生日スペシャル

《閑話篇》
第八訓「誕生日おめでとうとかあたしがババァになってくのを嬉しがってんのか?」



「…で、何」
銀時は眼の前にいる人物に白い目を向けた。

万事屋店内、新八と神楽、神凛とともに座ったソファの向かい側で一人の男がたちあがった。

「だから、誕生日を忘れていたのだ!どうすればいい?」
早口でまくし立て、黒髪をなびかせたのは桂だった。

銀時はその言葉に無言。
手元にあった苺牛乳を口に運ぶ。

「どうすればって、どうもしなきゃいいんじゃないですか?」
新八がもっともなことを言うが、桂は机を思い切り叩いた。
「朱里に面目が立たないだろう!」

…、銀時が口をひらいた。
「なんだよ、そんなにアイツが好きなら告白っつープレゼントでも贈ればいいじゃねェか」
しらねーよ、そう続ける。

「朱里が好きなわけではないのだが!!」

「失礼だな、オイ」
流石にそんなに否定されたら失礼すぎるだろ。
神凛が銀時が新しく飲もうとしていた苺牛乳を盗んで口に運んだ。

「エリザベスが誕生日に祝ってもらったのだ」
ソファに腰をかけると、隣に座っていた白い物体こと、エリザベスを見て言う。

『9月7日』
看板を出す、エリザベス。


「エリーに誕生日なんてあったアルか?!」
神楽はそのこと自体に驚いて声を張り上げる。

桂は神楽の言葉に頷くと
「だからだな、祝ってもらったのなら返すのが侍としての心得だろう、なぁ銀時」
銀時に話を振る。

神凛にのまれた苺牛乳を恨めしそうに眺めていた銀時が
「あぁ、そうだな。で、ヅラは祝ってもらったのかよ」
適当にかえすと、桂は眼を見開いて言った。

「祝ってもらってない」

「忘れてたんですか?!」
「舐められてるアルか、ヅラ」

「ヅラじゃない、桂だ」
こんな状況でも忘れずにそう言うと、桂はエリザベスを見て一言。
「何で俺は祝ってもらえないんだ?」

『しらね』
…。

神凛は可哀そうになったのか、なんなのか話を戻して切り出した。
「小太郎、そんなことはどうでもいいんだけど。何してほしいのさ」

「エリザベスが祝えばよくね」
銀時がちいさく呟いたが、無視。
「エリーは何もらったアルか」
だが、どれだけめんどくさいのか神楽ものった。

『服』

看板を見て、新八が
「服ですか!?」
言った途端にエリザベスが看板を持つ反対の手でタキシードらしい黒い服を掲げた。

「…ちっちゃくね?」
ごもっとも。

「それヅラサイズだと思うアル」
「朱里、一緒にしたんじゃない?小太郎の誕生日とエリザベスの誕生日」
神楽と神凛の言葉に新八がすぐさまツッコミを入れる。

「エリザベス祝ってもらってないでしょうが!!」


「銀時、なんでもいいんだがとりあえず祝わないとやばいんだ」
縋るように桂が言うと、銀時は無造作に髪を掻き毟ると一言。

「祝うとか、どうでもいいんだよ。ただありがとうって言ってやれば、十分じゃねぇか?」





「物なんていらないんだよ、心だよ!心」
神凛は微笑んでそう言った。



「ただいま帰ったぞ」
桂はそう言った。

すると、いつもの如く一人の少女の声。
「おーヅラ、おかえり」
朱里だった。

「ヅラじゃない、桂だ」
もちろんこれも挨拶のようなもので、即答すると朱里の向いへ。

朱里は机の煎餅を噛み砕きながらテレビを見ていた。

そして
『ありがとう』

桂がそう言った。

朱里が驚いて、テレビから眼をそらし振り返るとそこには、既に桂の姿はなかった。

「恥ずかしがり屋だねぇ」
嬉しそうにそう言うと、煎餅をまた一口。

銀時達に相談しに行く前に、桂が買ってきたケーキが冷蔵庫には入っていたのを、朱里は気付いていた。