二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 《銀魂》凛 と し て 咲 く 花 の 如 く ( No.509 )
日時: 2010/11/18 14:23
名前: 月兎 (ID: kDmOxrMt)

第三十七訓「怖いのは人の心っていうよね」


万事屋内は、静まり返って物音一つしない。
それは万事屋内だけではなく町全体が。

「うあー」
そこに、呻き声。
時計が指すのは夜中の十二時。

「寝れないィィ」

神凛は布団に入ることもしないで、刀を抱きかかえて電気をつけた廊下に立ちつくしていた。
小刻みに肩がふるえている。

「くっそ、なんだよマジで。銀時殺すゥゥ」
涙目の神凛は銀時に対して一人気に恨みがましい言葉を吐く。

「あんなの見るんじゃなかった…」
それは遡ることお昼時。



「神凛頼むよー」
銀時は一つのビデオを持って神凛の前にやってきた。
時刻は昼の12時。

「なんだよ、それ」
お昼時にもかかわらず大欠伸をした神凛は素っ気なく聞いた。
「ビデオ」

銀時が手にしていたビデオをむしり取ると神凛は表紙の文字を読んだ。

「本気で怖い江戸の話?」

それは、万事屋内にある筈のない怖いビデオだった。
「なんで銀時がこれ持ってんの?テメー怖いもの…きら「いじゃねェ」

…白い目で見た神凛は溜息をつく。
「これから出かけようと思ってたんだけど」
神凛は怖いものが嫌いなわけでもなく、特に好きでもないのである。

銀時は否定はしたものの
「いいじゃねェか、つきあってくれても!」
力強くせがんできた。

神凛はしょうがなくそのビデオを一緒に見ることにした。
神楽も一緒に。

「銀ちゃん、どうしたアルかこれ」
もっともなことを聞いた神楽に銀時は何処かごまかすように言った。
「いやぁ、なんとなくな。あったから」

嘘だろ、絶対何か見栄張ってんだろ。
神凛は内心そう思いながら一言。
「途中で逃げ出すなよ」
苦笑。

「に、逃げるわけねェだろ!」

「お前もな」
神楽を睨んで、銀時を楽しそうに見た後ビデオ鑑賞会が始まったわけで。





「案の定すぐ逃げたじゃねェか!!」
神凛は廊下を蹴り飛ばす。
そう、もちろん銀時はトイレに行くと嘘をついて始まって10分で逃げ出した。

10分持っただけでも凄いか。

「あれ1時間もあったよー全然何も起きてないのによー」

神楽は怖い話に出てきた酢昆布に反応した。
『酢昆布が異常に食べたくなったネ!買ってくるアル!!』

「私を置いてくんじゃねェよ!」
神楽がその場を去って行ったのは銀時がいなくなってから20分後のことだった。
残り30分。

「あ、あ、あんなに怖いもんか?!」

神凛は残りの30分を自力で、見栄張って一人で見続けた。
ビデオを始めるときに神楽が勝手に電気を消したせいでずっとそのまま。

神凛はこの日、トラウマができた。
今まで怖くもなかったものが、突然怖くなって。





「寝れねェじゃねェかァァァ!!」

時計の針が1時を指した。