二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 《銀魂》凛 と し て 咲 く 花 の 如 く ( No.584 )
- 日時: 2010/12/01 20:56
- 名前: 月兎 (ID: kDmOxrMt)
第四十一訓「珍しい名前に憧れて名前を変えたいと一度は思う」
「されこうべ?」
誰かが繰り返した。
聞き慣れない、珍しいその五文字が名前だと言うことに驚きながら。
「そウ、どくろって書いて髑髏だヨ」
滔々と言葉を返し髑髏は近藤の次の言葉を待つようにして、傘を回す。
突然現れたその少女に、隊士たちは疑惑を抱いたように顔を見合わせる。
前列組は細めた目で髑髏を見て離そうとはしない。
そして近藤は続けた。
「彼女は、幕府でずっと内密捜査を行ってきた隊士で名目上は真選組隊士だ。
上で動いてたから、関わりは無かったんだが今回を機に正式に真選組の一員として加わった。
一緒に江戸を守ろうじゃないか!」
不安をよそに大声をあげて笑いながら、髑髏の方を叩く。
「それデ、潜入捜査なんだけド何人で行くノ?」
髑髏は早速真剣に。
ただ、笑顔は絶やすことを止めずに言う。
「前列、しっかり並んでんじゃねェか」
土方が探すことなく即決して、答えを言う。
もちろん前列に並んでいた総悟等は、気が合って並んだわけでは無かったのだが。
「土方さん、嫌味なら受け付けてないでさァ」
総悟は土方に言い、すぐに近藤に向けて言葉を放った。
「前列全員でいくんですかィ?」
「そうだな」
近藤が言い、穂乃嘉が威勢よく右手を突き上げた。
既に緊張感がないのか、いや。
もとから無かったんだが。
「こんどっち!多すぎるんじゃないかな?」
もっともな事を言って、そこから愚痴が飛び交った。
「そうだよ♪潜入捜査ばれるんじゃない?」
「私も同感しますね」
「最高でも4人ぐらいがいいと思いますぜ」
「王子の言う通りです、兎さんは?」
上からアリス、耶麻、総悟、由江壱の順で発言していく。
捜査がしたくない、そう言う気持ちは無いのだが自然に出てしまうのは当然のこと。
減らず口、炸裂の真選組。
「何かあるんじゃないかと自分は思う」
頷き、目線を上げると無兎につられる様に全員が口を閉じた。
「万事屋として行ってもらう」
沈黙。
その言葉が大部屋に響いた途端、静まり返り声を最初にあげたのは。
『それハ、名目としてだロ?』
髑髏だった。
「皆、万事屋のとこに行くわけでも偽造するだけでもないぞ?」
全員が一度は万事屋と聞き、考えた事を制する。
「旦那のとこに行くのかと…」
由江壱が内心を呟く。
「悪いな、一つの万事屋の従業員として頼むぞ」
近藤がそう言い、集会はお開きとなった。
最後に。
『準備しておくように』
そう言い残して、前列組にはその意味は伝わったのである。
明日から捜査が始まると言う事が。
「いヤ、楽しみだナ」
髑髏が声を小さくすることなく、周りの目も気にせず一番初めに大部屋を後にした。
真選組潜入捜査、万事屋結成前日。