二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 《銀魂》凛 と し て 咲 く 花 の 如 く ( No.631 )
日時: 2010/12/06 20:43
名前: 月兎 (ID: kDmOxrMt)
参照: テメーらァァァ!それでも銀魂、ついてんのかァァァァ!!

第四十三訓「歩いてすぐに疲れるなら、とりあえず散歩にでも行って来い」


「ちゅんちゅん」

朝の小鳥の囀り。
「いいから、そんなのしなくて」
ではなく、時間が進んだことをどうにか隠そうとした結果だったりするのだが。

「いやー、いい朝アルな!絶好のお手伝い日和ヨ」
神楽が普段通りの服を身につけ、清々しい笑顔で言った。

「そういえば神楽ちゃん、服止めたの?銀さんも…」

新八の言葉通り、昨日来ていたメイド服も執事服も着ずにいた神楽と銀時。
「いや、動きにくかったから」
「なんかあんまり可愛くなかったネ」

呆気ない言葉に静まり返る万事屋一同。

「テメーに可愛いとかないけどね」
「何かいったかオラァ!」
「別にィ?あ、その道右」
神凛がチラシを右手に言う。

そう、万事屋は現在お手伝いに行く家に向かう為に外に出ていたわけなのだ。
まだ家にいるように見えたのは、呑気だからだろう。

「本当、どこだよ」
歩き疲れたのか愚痴を言った銀時に対し、新八は笑いながら答えた。
「いつもバイクばっか乗ってるからですよ、そろそろ地図によると着きますから」

隣で久しぶりに口喧嘩を始めていた神凛達。
しかし突然、神楽が声を出した。

「あ」

立ち止った神楽の見つめる方向に目を向けるとそこには、豪邸、屋敷ともいえるだろう家が建っていた。

「すげェな、オイ」
その家を見て感嘆の声を漏らす銀時。
「ちょっ、見て!」
地図を指して小刻みに震えだす神凛。

声に集まる万事屋一同が神凛を囲み、見る地図が指すその場所。

「銀さん、これって?」
「アレ?何コレ」
「ここアルか?これここネ」
「いや、何かの手違いじゃね?」

ここに来てやっと、自らがこれから向かう仕事場がどのような場所を理解したのだった。
「色…って書いてある」

神凛の言葉に新八が何度も色という言葉を繰り返し、思い出したかのように声を張り上げた。
「色って…あの幕府の色 いろはの家じゃないんですか、ここ!?」

色 いろは。
珍しい女の幕府関係者であり、ターミナルの副管理人でもある。

「ありえないでしょ」
神凛がそうは言ったものの、全員は茫然と屋敷を見上げるだけで否定することすらできない。
呟くようにした声が響く。

「なんでお手伝いを雇ってるアルか」

誰もそれに応える事はしない筈だった、のだが。
何処からか声がした。


『おい』


慣れたのか、どうなのかうんざりした様に万事屋一同は肩を落とし一斉に振り返って声を合わせた。

『それはこっちの台詞だ、税金泥棒』

腐れ縁で何処に行っても出会ってしまう、税金泥棒こと真選組の面々がそこにはいた。

「プライベートかコノヤロー」

「あ?」

私服を身につけた彼らが柄が悪そうな井出達で並んでいた訳で。
万事屋一同は目をそらすようにして、空を見上げた。

『いやー、最悪だわ』