二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 《銀魂》凛 と し て 咲 く 花 の 如 く ( No.708 )
日時: 2011/02/22 17:51
名前: 月兎 (ID: kDmOxrMt)

第四十六訓「純粋無垢は人の心につっかかる」


「どうぞ、こちらですわ。兄がご無礼なことを…」
扉を開けるとそこにはインターホンで出た女、色 白菜が妖艶な笑みを浮かべて立っていた。

白菜は蒼の着物を身につけ、令嬢と思わせる井出達をしている。

「いえ、怪しいと思ってしまうのは当然のことです」
白菜の言葉に招かれ、色家へ上がっていく一同。
白菜は大人数だと驚く様子を見せず、一人一人の顔を追いながらもう一度笑う。

「家には兄と妹しかいませんので」


白菜が開いた大きな扉の先に、感嘆の声が上がる。

「凄いな、流石色家だ…」
神凛が豪華な置物や高級そうな家具を見てしきりにそう呟く。
それに続くように一同は見た事も無いようなその部屋を凝視する。

部屋に置かれたテーブルを囲む、長いソファに二つの影があった。

その影の一つが目前の本から目を離し、口を開いた。
「…白菜」
その声はインターホンで警戒を示した、白菜の兄である色 灰里のものだった。


いまだ訝しげに神凛達を見る弟に白菜は言う。
「こちらが私の兄の灰里ですわ」

紹介され灰里は目にかかっていた黒髪を耳にかけ、小さく会釈をした。

「そしてこちらが…」
紹介を続けようとした白菜の言葉を遮るようにして明るい声が響く。


「黒菜だよ!よろしくね!」
楽しそうにソファから飛び跳ねたのは白菜の妹である黒菜。
満面の笑みで元気良く言いながら、灰里の足元にかけていく。

「…ですわ。いろはが不在の少しの間ではありますがどうかよろしくおねがいします」
お手伝いなど必要があるのかと神凛達が不思議に思うほど、色家は颯爽としていた。


「白菜さんみたいな方がいらっしゃるのに何故お手伝いを?」
新八が問う。

「何をおっしゃるのですか」
妖艶な笑いをする白菜。
「いろはが返ってこず、いろりが居ないのもいつものことですわ」

「掃除でもさせたいのだろう、きっと」
続きを灰里がいい、白菜はただ笑う。
「ええ、そうかもしれないわね。私たちにもよくわからないのです、ただの気まぐれなのかもしれませんし」

それを、新選組一同は怪しむことしかできなかった。

何かの理由があるに違いがない。
だが、潜入捜査であることを。父の不祥を言うことはできない。


それはもっとも、何も知らないであろう白菜達を見たからだった。



「なるほどな、で…早速は?」
銀時が頷きながら白菜に言う。
「先程言ったとおりですので、日常の仕事を手伝っていただければ十分ですわ。他は自由にしていてくださってかまいません」

その言葉に万事屋と新選組とで別れ、仕事を始めることになった。
もちろん勝手にだが。


「分かったアル!とりあえず掃除すればいいネ?」
神楽がやる気満々にそう告げ、危なっかしいからやめろと止められながらも後を追い、その場を後にする。

「それじゃあ私たちも掃除しようか♪」
アリスの言葉で新撰組一同もその場から去り、大きな扉が音を立て閉まる。






後に残された白菜が呟いた。

「彼等は気付いてしまうかしら」

「…」
灰里は黙る。

「どちらにしろ既に私たちにはどうしようもない」
その意味深な言葉に黒菜が無邪気な言葉で言った。


「それでも幸せだよ?」