二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 唄い鳥 〜桜蘭高校ホスト部〜 ( No.8 )
日時: 2010/06/15 19:16
名前: さくら (ID: 50PasCpc)

そう、
わたしは人が来ると逃げてしまうから、わたしの声は幽霊扱い。

影では“美声の君”なんて呼ばれているらしい。



桜蘭は楽しい。
楽しいけど、これじゃあわたしの目的が果たされない。



そう思いながらも、今日もわたしは歌うしかない…


























—————…



(ヤバ……)

鞄の中を探してみても、今必要な辞書が見つからない。


(どうしよう…)



転入して日も浅い。
早く授業にも追い付かなくてはいけないのに、こんなミスばかり。

鞄の中に突っ込んでいた手を戻し、調べることをメモしようとシャーペンを握った。帰ってから調べようと思ったのだ。



「高村さん」

「あ…なに??」


斜め前の席にいる藤岡ハルヒは、サクラの方に顔を向けていた。


「辞書ないの??」


キョトンとした顔のまま、彼はそう言った。


「あ…う、うん…」

「これ使っていいよ」


そう言った彼の手には、ずっしりと重たそうな辞書。
そんな中、教師の声は途切れない。


「い、いいよ…!藤岡さんも辞書ないと大変だろうし…!」

「自分なら大丈夫だよ。大体は昨日のうちに調べてあるから」


だから、と彼は更に手を伸ばした。